BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・23/樋口一希/鉄骨BIMで状況をブレークスルー・2  [2014年7月3日]

鉄骨階段と鉄骨BIMによる鉄骨本体の3次元データを組み合わせたもの(片山ストラテック提供)

 建設業本体とファブリケーターとの関係について鉄骨BIMを通して俯瞰すると、BIM運用に関する現状の課題と可能性が透かし絵のように浮かび上がってくる。


 □3次元データに基づく正確な数量把握により、明確なコスト意識を関係者間で共有□

 建設業とファブリケーター双方にとって鉄骨BIM採用のメリットは明確だ。

 鉄骨工事に際して建設会社が躯体、仕上げなどの施工図は描くが、鉄骨製作図はファブリケーターが描く。建設会社は鉄骨製作図と共に3次元データがあれば、外壁、設備、昇降機などとの取り合いを正確かつ迅速に把握できる。

 ファブリケーターも3次元データをもとに建設会社と情報共有することで、頻繁に繰り返されていた変更も極力、減らせるので、手戻りも少なくなり、利益率向上に結びつく。

 最もメリットが大きいのは、数量把握=積算=相見積もりについてだ。数量把握の根拠と3次元データをお互いに共有していれば、ファブリケーターから提供された見積もりに関して、建設会社側で相見積もりをとる必要性も減る。従来、ファブリケーターでは、繰り返される変更への手作業での対応=再見積もりに膨大な手間を割いており、利益の過半が吹き飛ぶこともあった。ここでも鉄骨BIM=3次元データ採用のキーワードは「明確なコスト意識」だ。


 □鉄鋼工事で極めて重要な「溶接長」の把握で、資材調達から工程管理まで広がるBIM援用□

 鉄骨BIM=3次元データの援用は、H形鋼など鉄骨工事にまつわる資材調達や工期調整などにも影響を及ぼしている。

 鉄骨BIMソフト「KAPシステム(Katayama Application Package)」では、3次元データに基づき従来の手作業では困難を極めた「溶接長」を正確かつ迅速に把握できる。

 鉄骨造は既に確立された工法であり、使用部材のほとんどが標準化されている。多くの場合、標準化部材としてロールH形鋼を採用するが、規格外対応として、板材を溶接して製造するビルトH形鋼を採用することもある。溶接を伴うビルトH形鋼は国内では割高のため、溶接=人件費が安い海外から調達するケースもある。溶接長を正確に把握することで、国内外での調達コストを厳密にシミュレーションできるわけだ。

 鉄骨造では、現場工程の中で、溶接工事の占める割合も高い。鉄骨BIMによって、事前に溶接長を把握することで工期を正確に把握できる。このように「溶接長」ひとつをとっても鉄骨BIMは、工場への資材発注から現場での建て方期間の調整まで援用できる。


 □ファブリケーターとしての実務ノウハウで、鉄骨BIMと他業種との開かれた連携を実現□

 3次元データによる他業種との連携も密になってきている。鉄骨BIMソフト「KAPシステム」は他社システムへも開かれたシステムであり、このケースでは、AutoCADで作成された鉄骨階段と鉄骨BIMソフト「KAPシステム」による3次元データをシステム的にマージしている。その際には、受け梁の位置を正確に認識し、3次元データ化するなど、ファブリケーターとしての片山ストラテックならではのきめ細かな対応を実現している。

 次回は、構造設計、設備設計との関係など他工程とのシステム連携の現況を報告する。

 〈アーキネット・ジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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