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復興進む東北-建設関連業の将来どう描く/事業量ある今が変革へのチャンス  [2014年12月12日1面]

宮城県は建設関連業の優良表彰制度を創設した

 東日本大震災からの復興事業が進む東北地方。建設業と同様、建設コンサルタントや測量などの建設関連業も膨大な量の業務をこなしている。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)では、調査・設計の品質確保も位置付けられ、同法をはじめとする「担い手3法」が魅力ある産業への転換を後押しするとの期待は高い。事業量がある今のうちに復興後の業界像を描こうという動きが出始めている。
 「復旧・復興を円滑に進める中で建設関連業の底力を感じた」。国土交通省東北地方整備局の安田吾郎企画部長は、こう評価する。だが、震災前までは公共事業の激減で業界は疲弊。「人手不足に陥り限界を感じた」と建設コンサルタンツ協会の遠藤敏雄東北支部長は話す。常態化する長時間労働などを改善し、若者を呼び込める産業にならなければ先はないというのが業界の共通認識だ。
 担い手3法では、発注者の責務が明確化され、担い手確保・育成への配慮や適正利潤の確保、適切な工期設定などが掲げられた。東北地質調査業協会の早坂功理事(前理事長)は「すべての発注者で改善が進めば、雇用が増え離職も減る」と期待する。関連業に対する認知度の向上も必要だ。東北測量設計協会の鵜沼順二郎会長は「震災対応に代表されるように、地域を守る尊い仕事であることを訴えていく」と意欲を見せる。
 一連の法改正は、技術力による競争を加速させる側面も強い。日本技術士会の吉川謙造東北本部長は、インフラメンテナンスを例に挙げ、「技術開発が重要だ。省力化や自動化をいかに進めるかの競争になる」との認識を示す。安田氏は、大手と地域企業の役割分担が重要と見る。防災やインフラメンテナンスには、高い専門性が問われる分野と地域密着が不可欠な分野が共存するからだ。小規模自治体では土木技術者の確保が難しい状況もあり、CM(コンストラクション・マネジメント)方式など建設関連業が補完すべき領域は確実に広がっている。少数精鋭で高品質の成果を提供できる技術・体制を磨き上げる必要がある。
 震災復興事業が、調査・設計、測量に始まり工事へと進んでいく工程を考えると、建設関連業は近い将来、事業量の減少に先行して直面する産業といえる。今でこそ人手不足が言われるが、震災前は過剰供給に悩まされてきた。ある地域コンサルの社長は「震災前は、大手のダンピングに地域企業は敗れていった。それが人材離れに拍車を掛けた」と振り返る。復興後に同じことが繰り返されないか。地元業界にはそんな不安もある
 業界のあるトップは「復興事業で将来への布石を打てた企業は生き残れる。今まで通りの仕事をしただけの企業は発注が減ったら何も残らない」と手厳しい。「技術者数を減らしてはいけないが、企業数は今のままで本当によいのか」。そう指摘する関係者もいる。魅力と誇りのある新たな業界へとどう自己変革するのか。東北の動向は、全国の試金石にもなりそうだ。

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