BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・5/樋口一希/BIMソフトによる施工図作成・1  [2014年2月20日]

 清水建設の施工図部門がBIMソフトを躯体=施工図作成に活用したケースを報告する。施工図が2次元図面として建築工程を流通している中で、施工図部門はなぜ、BIMソフトを用いる決断をしたのか。そこには明確な目的意識と戦略があった。


□建築生産システム革新の一環として「施工図」部門にBIMソフトを導入□

 建設業では施工現場が生産の場=収益源だ。施工現場は、刻々と姿を変える「ナマモノ」であり、極論すると「絵」としての設計図(データ)ではなく、施工中の建物のリアルデータを反映する「施工図(データ)」がベースとなる。

 建設会社では、設計部門に施工現場から所員を参加させ、設計と施工の連携を模索したり、自社開発の施工図専用CADを支店に導入し、施工図作成の集約化を目論んだり、施工図をめぐって試行錯誤を続けてきた。

 清水建設では、建築生産システム革新の一環として「図面に関する変革」を掲げ、目的に合致するシステムの選定を続けた。その結果、主要システムとして稼働しているのが福井コンピュータアーキテクトの「J-BIM施工図CAD」だ。


□高さデータを付与した躯体=部材を平面上に配置する方法で3次元データを入力□

 同社では、従来のように2次元で施工図を描くのと、J-BIM施工図CADで3次元データを入力し、それを基に2次元の施工図(RC造・躯体図)を作成するのでは、よほど複雑な躯体形状でなければ、コストがほぼ同じだと公表している。

 それが可能となった背景には、RC躯体の3次元データの正確かつ迅速な入力に特化したJ-BIM施工図CADの存在がある。

 コンピュータのデジタル空間上に、建物を3次元で構築するためにはさまざまな手法がある。J-BIM施工図CADでは、躯体部材(=基礎・基礎梁・柱・梁・スラブ・壁など)の断面リストをあらかじめデータベース化し、それらを各階ごとに通り芯上に配置していく。

 データベース化した部材には、登録時に高さ方向の断面寸法を付与しているため、通り芯上へ配置しただけで立体形状を作り上げることができる。

 このような入力方法によって、2次元と比較して作成により多くの手間がかかる3次元躯体データを正確かつ迅速に構築できる。


□現場でのコミュニケーション・メディアとしての「施工図」表現も最大限に尊重□

 3次元躯体データを水平に切断すれば平面データを、垂直に切断すれば断面データを得られるのがBIMソフトの優位性だが、切り出しただけでは施工図面として表現されないし、加筆修正したのでは二度手間、三度手間となる。加えて長年にわたり培ってきた清水建設流の「標準的な図面表現」もある。

 それらの課題を解決するため、清水建設と福井コンピュータアーキテクトはJ-BIM施工図CADを共同でブラッシュアップし、3次元躯体データから2次元の施工図(表現)を実現できるシステムとして構築した。これによって、従来のように2次元で施工図を描くのとほぼ同じコストで、3次元躯体データの構築+2次元の施工図作成も可能となった。

 次回は、それら3次元躯体データを最大限に活用している現況を報告する。

 〈アーキネット・ジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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