2017年1月20日 金曜日

論説・コラム

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どうなる建設市場~ポスト五輪占う・下/インバウンド需要に期待  [2017年1月5日3面]

野菜の生産事業などが新領域分野の有力事業の一つに

 ◇将来へ布石打つ動き加速
 2020年東京五輪後も首都圏では大規模な開発がしばらく続くとみられる。リニア中央新幹線計画も、27年に予定されている東京~名古屋間開業以降も、大阪へ向けた延伸工事が続く。地方中核都市では駅前に機能が集中する傾向があり、駅前型の開発が継続して進むと同時に、高齢者が求める利便性の高い高層住宅を建設する動きが広がりつつある。
 政府は、東京五輪が開かれる20年に訪日外国人旅行者(インバウンド)4000万人という目標を掲げる。昨年末には統合型リゾート施設(IR)整備推進法(カジノ法)も施行され、これからのキーワードの一つにインバウンドを上げるトップも少なくない。
 竹中工務店の宮下正裕社長は、「インバウンド向けのホテルやサービスアパートメントなど関連施設の需要がある。観光立国として地域の整備を図っていこうという動きが続くのではないか」との見通しを示す。
 大建工業の億田正則社長も「大阪で万博を開催する構想やIR法の成立で20年以降もインバウンドはそれなりに見込める」とするなど、インバウンドに期待する声は多い。
 一方、建設コンサルタント各社のトップは独自の需要予測を語る。日本工営の有元龍一社長は「20年以降は市場環境が変わる。国内のシェアをどう伸ばすかがカギを握る。防災・減災対策の取り組みは続く。インフラのストック効果を上げるための維持管理の仕事も増える」とみる。コンサルティングだけでなく、コンダクターと共同で取り組むマネジメントスタイルの仕事が出てくるとも予測する。
 応用地質の成田賢社長は、「従来の調査業務の仕事は20~25年にがらっと変わるだろう。情報技術による働き方改革と、想定していなかった業種の建設市場への参入など変革の時期になるだろう。われわれも仕事のやり方を変えるしかない」と気を引き締める。
 橋梁各社の間には新設橋梁の減少を予想する声が目立つ。「新設の減少を補うため、保全・架け替え事業やグローバル事業の拡大を図りたい」(井上明IHIインフラシステム社長)、「今後、減少が見込まれる国内の新設橋梁だけに特化するのではなく、何ができるかを考えてビジネスチャンスを拡大していきたい」(川田忠裕川田工業社長)などと、次の一手を模索する動きが加速している。
 国土交通省が推進する建設現場の生産性向上施策「i-Construction」では、一般土木工事を対象にICT(情報通信技術)の導入が進む。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など最新技術と保有技術の組み合わせも始まっている。
 協和エクシオの小園文典社長は「通信設備工事の減少をカバーするためには、これまでの技術を生かしながらICTなどを活用した新しい分野へチャレンジすることが必要になる」と強調する。フジタの奥村洋治社長は「五輪開催後に景気が良くなった国は歴史上存在しない。どういう会社なら勝ち抜けるかを今から考えて実行することが重要だ」と準備に余念がない。
 五輪以降も極端な落ち込みはないとみる向きが多い半面、各社とも国内需要の質的な変化を察知している。今年は経営基盤の強化に向け、海外事業に加え、再生エネルギー事業や農業など、新領域分野への備えが一段と進む一年になりそうだ。

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