BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・7/樋口一希/BIMソフトによる施工図作成・3  [2014年3月6日]

施工用BIMモデルの役割(清水建設提供)

 清水建設の生産支援グループがBIMソフトを用いて3次元躯体データを徹底活用している現況を紹介した。設計・施工を通してBIMソフトを活用するメリットについても報告する。


 □設計・施工の優位性を生かしBIMデータを介して実施設計から設計担当とコラボレーション□

 設計部門ではGraphisoft社の「Archi-CAD」などBIMソフト導入が進んでいる。設計部門のBIMソフトによる3次元データは、生産支援グループのJ-BIM施工図CADの3次元躯体データとは異なるデータ様式のため、直接、援用しない。2次元のデジタルデータ(図)に基づきJ-BIM施工図CADで3次元躯体データを構築する。

 設計部門では実施設計の段階から施工部門を巻き込み、施工に肉薄して設計精度向上を図る。施工部門は設計部門に対して工法提案などノウハウを提供する。3次元データを基に、設計と施工部門が連携を図ることで、それぞれの技術、ノウハウの射程距離を広げている。

 J-BIM施工図CADで構築した「施工用BIMモデル」は設計部門との連携とともに、設備などの専門業者との連携、竣工後の施設管理への援用と、応用範囲を広げていき、設計・施工を標榜(ひょうぼう)する建設業の優位性として結実する。


 □「施工の前倒し」で削減コストを定量化し他社との価格競争力も高める□

 建物は一品生産であり、施工現場も移動し、工事は天候に左右される。工場などの製造業と異なる建設業のユニークさだが、早期(施工前)のコスト把握が困難という弱点にもつながる。

 J-BIM施工図CAD採用の最大のメリットは「施工の前倒し」だ。コンクリート数量、型枠面積、鉄筋数量を正確に把握し、施工工程の最適化、作業の効率化、生産性向上を通じて、より厳密なコスト削減が可能だ。

 トレーサビリティーを確保しつつ、積算根拠を共有し、削減コストの定量化を図る。他社に対する価格競争力を高めるとともに、製造業としての体質改善にも直結する。


 □自社開発から既存ソフトの利用に方針展開、ソフトベンダーと共同で自社仕様に仕上げる□

 自社開発の施工図ソフトを運用していたが、OSの変更、専門業者とのデータ連携などに的確に対応するため、同様の機能をもつ既存ソフトを探索した。俎上(そじょう)に上がったのがJ-BIM施工図CADの前身「アーキトレンドZ」だった。

 3次元躯体データの入力に、躯体部材(基礎・基礎梁・柱・梁・スラブ・壁など)の断面リストをデータベース化し、各階ごとに通り芯上に配置する方式を採用していること。工区ごとにコンクリート数量、型枠面積が拾えることからアーキトレンドZを選定し、共同でJ-BIM施工図CADへとブラッシュアップした。

 清水建設は自社仕様のJ-BIM施工図CADを手に入れ、福井コンピュータアーキテクトは建設業の現実に則したユーザーニーズをシステム化する機会+ノウハウを獲得した。

 「清水建設仕様のJ-BIM施工図CADの開発に際して機密保持契約を締結している。他方、契約に抵触しない範囲でのシステム開発は許容されている。建設業全体でBIMソフトを運用してこそメリットを生かせるとの清水建設の意向からだ。今後は構造、設備などの領域とも連携して日本版のBIM連携(J-BIM連携)を進め、海外由来のBIMソフトとの差別化を徹底する」(福井コンピュータアーキテクト執行役員ビジネスソリューション事業部長・塚本卯郎氏)

 次回からは日建設計におけるBIMソフトの運用の現況について報告する。

 〈アーキネット・ジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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