技術・商品

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

飛島建設/バッチャープラントに自動温度制御機能導入/寒冷地のコンクリ製造で効果  [2017年4月21日3面]

ベルトコンベヤーでの搬送時に蒸気で骨材温度を一定に保つ

 飛島建設が、「宮古盛岡横断道路岩井地区トンネル工事」(東北地方整備局発注)に採用してる自動温度制御機能付き吹き付けコンクリート製造設備「スマートバッチャープラント」が効果を発揮している。氷点下20度前後の厳寒の中でも、一定の温度でのコンクリート製造を実現。練り上げ温度にばらつきが出る従来工法より、コンクリート強度が15%向上するなど、品質向上とコスト削減につながっている。
 NATMによる山岳トンネルの主要な支保部材となる吹き付けコンクリートの品質や施工性は、コンクリート温度への依存性が高い。特にコンクリート温度が低い場合は、初期強度や付着性状を確保するために急結剤の添加が必要となり、コストがかかるほか、添加量が多いと長期強度が低下するなど、トンネルそのものの品質や建設費に影響を与えることになる。
 今回採用したスマートバッチャープラントは、▽水、細骨材(砂)、粗骨材(砕石)といったコンクリート材料の加温▽各材料の練り混ぜ前、練り混ぜ時の連続温度計測▽目標練り混ぜ温度に合わせた冷水と温水の割合の自動調整制御-の三つの機能を持つ。
 岩井地区トンネル工事の現場となる岩手県宮古市区界は、冬季の最低気温が氷点下20度になる厳寒地のため、温水を加えるだけでは、目標練り上がり温度25度の達成は難しかった。
 コンクリートの製造では、ベルトコンベヤーで搬送中の骨材を高温の蒸気で加温し、ミキサー内での練り混ぜ途中や終了時の温度を測定。目標の練り混ぜ温度となるように、温水と原水の水量を自動調整することで、昼夜の気温変動によらず練り上がり温度を一定に保つことができた。
 昨年12月から今年3月にかけて出荷した吹き付けコンクリートの全バッチの平均温度は24・7度。温度自動制御機能を持たず、温水ボイラで練り混ぜ水を加温するだけのバッチャープラントを使うあるトンネルでは、最低気温が氷点下3度の現場でも同時期に出荷されたコンクリートの平均温度は15・9度だったという。
 出荷温度が安定したことでコンクリートの付着性状も安定。これにより、急結剤の添加率は温度自動制御機能を付加する前に比べ、1・8%低減し、急結剤が抑えられたことでコンクリート圧縮強度が24%向上した。付着性状が安定したことで吹き付け時のはね返りが減り、設計吹き付け量に対する実際の吹き付け量の割合を示す「余吹き率」は24%低減したという。
 同トンネルで温度自動制御機能を導入した昨年11月から今年3月に施工した約400メートルでは、急結剤の減量分だけで約1000万円のコストダウンが見込まれており、蒸気による加温機能と温度自動制御機能による追加設備費用(700万円)を吸収。さらなるコストダウンを実現した。
 今後は北海道ニセコ町で施工中の「北海道新幹線、ニセコトンネル他工事」でも導入予定。さらに夏季のコンクリート温度上昇に対応した材料冷却設備を開発するなどシステムの改良を進め、寒冷地だけではなく中央新幹線や全国の道路トンネルに積極的に提案する考えだ。

コメント

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。

中小企業の事業性を向上させる税理士の経営支援
身近な専門家である税理士の支援を受け、中...続きを読む
DVD 道路工事の労働災害・公衆災害
安全教育用DVD「つくる!安全現場の一年...続きを読む
国際標準型アセットマネジメントの方法
インフラ資産のアセットマネジメント全体の...続きを読む
DVD 新版 つくる!安全現場の1年
「サイバーセキュリティ月間」の新コンテン...続きを読む
タイムライン―日本の防災対策が変わる
風水害などの防災対策として全国の地方自治...続きを読む