BIMの課題と可能性・168/樋口一希/bSI標準化サミット開く

2017年4月25日 トップニュース

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 4月3~6日、バルセロナで開かれた「2017春 bSI標準化サミット」でのConstruction Room(施工分科会)の動向を中心にChairman(議長)を務めた遠藤賢氏(鹿島BIM推進室課長)へのインタビューから概説する。


 □施工分科会には鹿島と竹中工務店が参加し我が国の施工BIMの現状を広く世界にアピール□


 ロンドンに本部を置く世界的なBIM標準化推進組織であるbuildingSMART International(bSI)の日本支部としてbSJ(旧IAI)が活動を本格化させている。施工BIM推進を主体的に担う施工小委員会は、16年12月1日に第1回会合を開き、直近の4月24日には第4回を数えるに至った。

 バルセロナ・サミットには、施工小委員会から鹿島「Construction BIM×AI」、竹中工務店「BIM Project:Tokyo:Kyushu」が参加し、Construction Roomにおいて我が国の施工BIMの現状についてセッションを開いた。

 Construction Roomには、両社を含むBIMユーザー企業と共に、欧州の複数のソフトウエアベンダー、ゼネコン、大学・研究機関、コンサルタントで構成される「eeEmbeddedコンソーシアム」が参加した。施工分科会を含む全体参加者数も前回比約2倍を数え、急遽、会場変更するなど活況を呈した。


 □Infrastructure Roomなどの分科会も開催される中で注視すべき必要を感じたRailway Factorの動向□


 今回のサミットでは、Construction Roomを含めてAirport Room、Infrastructure Roomなど7分科会が開催された。それらの中で継続して注視する必要を感じたのは「Railway Factor」=鉄道系インフラ関係者の動向であった。欧州の鉄道会社を中心にBIM導入と標準化に向けたコンソーシアムを形成し、今後の取り組みへの道標を公表した。

 IFC(Industry Foundation Classes)全般の技術動向に関するセッションでも、OWL(Web Ontology Language)(※)などによるインターネット技術との連携とともに、土木・道路、鉄道などインフラ系への拡張が今後の主たるテーマとしてフォーカスされた。

 その他の取り組みとして印象的だったのが、Strategic Advisory Council(ストラテジック・アドバイザリー・カウンシル)メンバーであるスイスのコンクリート部材メーカー、ラファージュホルシム(Lafarge Holcim Ltd.)だ。オーダーメイドでパーツをBIMモデル化して提供、躯体メーカーとして基本設計段階からコミットする戦略を持つ。16年には3Dプリンターによるコンクリート構造部材の製造技術を公表している。


 □IAIからbSJに至る長年の研究・普及活動の実績を評価され2氏がbSIフェローに任命される□


 今回、米国の大手建築設計事務所であるHOKのChairman Emeritus(名誉会長)であり、bSI会長も務めるパトリック・マクレミー(Patrick MacLeamy)氏から、足達嘉信氏(bSJ技術統合委員会リーダー:セコム)と庄子幹雄氏(bSJ会長:元鹿島副社長)がbSIフェローに任命された。

 bSIでは、10月30日~11月2日にロンドンで「2017年秋 bSI標準化サミット」を開催する予定。

 関連情報の取得やbSJへの入会申し込みは、次のURL(http://www.building-smart.jp/members/apply.php)から。

 ※OWL:インターネットでのデータ交換を行うためのデータ記述言語。IFCに適用したものがifcOWL。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)