BIMの課題と可能性・179/樋口一希/IM&VRソリューション・2

2017年6月8日 トップニュース

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 フォーラムエイトのBIM/CIMを包括的にカバーするソリューション・プラットフォーム「IM&VR Solution」の今日性の検証を通して「BIMのその先へ」についても探索する。


 □都市レベルでの3次元モデルをいかに構築するかなど「BIMの先へ」向けた動きも加速□


 本稿第168回「bSI(buildingSMART International)標準化サミット」(バルセロナ開催)において、「Railway Factor」=鉄道系インフラ関係者を中心にBIM導入と標準化に向けたコンソーシアムを形成、今後への道標を公表したのを報告した。IFC(Industry Foundation Classes)の技術動向に関するセッションでも、土木・道路、鉄道などインフラ系への拡張が今後の主たるテーマとして取り上げられた。

 bSI日本支部のbSJ技術検討小委員会でもIFCの土木:CIM領域への拡張の検討が始まった。建築物は単独では存在し得ない。複数の建築物が形成する街区やさらには都市レベルでの統合的な3次元モデルをいかに構築するかなど、「BIMの先へ」と向けた今日的な動向としてBIMとGISの融合にも注目が集まっている。


 □BIM:CIM:GISをクラウド上で連携+VR作成・編集機能で大規模な3次元空間をハンドリング□


 ソリューション・プラットフォーム「IM&VR Solution」の中核をなすのが3次元リアルタイム・バーチャルリアリティソフト「UC-win/Road」とクラウド型合意形成ソリューション「VR-Cloud」だ。

 「UC-win/Road」は、BIM/CIM対応3次元建築土木CAD「Allplan」、土木設計ソフト、構造設計・構造解析ソフトなど各種ソフトウエアをクラウド上で連携、合意形成を支援するリアルタイムVRソフトパッケージだ。
 地形・地図については、国土地理院承認(平12総使:第173号)などを標準データとして採用、線形、断面、地形処理から交通設定、モデル設定処理などのVR作成・編集機能を装備し、各種プレゼンテーション機能で景観検討、設計協議、事業説明などを支援する。

 BIM/CIMデータ交換ツールによって景観、日照、交通、風、騒音、浸水・津波、避難などの各種シミュレーションとの連携を実現している。ソフト名に「Road」とあるように、3Dコックピット+マルチモニターによるドライブ・シミュレーションにも特化した機能をもつ。

 「VR-Cloud」は、サーバー上でUC-win/Roadを稼働させ、Webブラウザで遠隔操作することでビデオストリーミングだけでなく、インタラクティブなリアルタイムVRを提供する合意形成ソリューションだ。

 インターネットを最大限に活用するCollaboration機能では、3D掲示板・景観評価・注釈・写真・複数ユーザーによるコンファレンス機能などより高度なVRによる連携が可能だ。


 □話題のNURBSモデリングソフト「Rhinoceros」の別売りプラグインもタイムリーに提供□


 フリーフォームNURBSモデリングに特化した3次元CADソフトウェア「Rhinoceros」(アプリクラフト)の3DモデルをUC-win/Roadで表示するプラグイン(別売りオプション)を提供している。独自伝送技術「a3S(Anything as a Service)」によってUC-win/Road(サーバー)=Rhinoceros(クライアント)間で通信し、Rhinocerosの次元モデルの編集状況をUC-win/Roadに反映するなど、3次元空間上に配置した状態のまま編集可能だ。

 VR-Cloudと併用することでRhinocerosのモデルがVR-Cloudで閲覧可能で、モデルの描画方法(ワイヤフレーム、テクスチャあり・なし)の変更にも対応している。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週火・木曜日掲載)