論説・コラム

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回転窓/魯山人の温故知新  [2017年6月16日1面]

 陶芸、書画に料理と多彩な才能を発揮した北大路魯山人はビールをこよなく愛した。銘柄はキリンで、それも小瓶。晩酌は冷蔵庫から取り出して自らコップに注いだ▼小瓶でなければならないのは、最もおいしいと感じる冷たさのまま飲み干せるから。美食家でもあった魯山人らしい逸話で、陶芸作品には小瓶の分量がきっちり入る志野焼のジョッキが残っている▼こんなエピソードもある。夏場に陶磁研究者の小山富士夫の自宅に学生が集まっていたところ、魯山人が現れ、「本物のジンジャーエールをごちそうしよう」と一言。皆が見守る前で運び込んだビールをボウルに注ぎ、氷砂糖とすり下ろしたショウガを入れてジンジャーエールを作り、皆に振る舞った。その味は「ことのほか旨(うま)かった」と小山が書き残している▼何事も本格にこだわった魯山人だが、ジンジャーエールの作り方は自己流だったようだ。前述の志野焼には瀬戸や美濃ではなく信楽の土を使った。「伝統に重きをおきながら伝統に無きものを逐(お)っております」とは魯山人の言葉▼「温故知新」を地でいった魯山人の発想力に、現代人も学ぶことは多い。

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