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神戸大学ら/土のう構造体による盛り土補強工法の開発進む/のり先に設置、耐震性向上  [2017年8月21日3面]

実大盛り土での検証実験が行われた=18日、茨城県つくば市の防災科学技術研究所で

 渋谷啓神戸大大学院工学研究科教授を代表者とする研究グループが進めている土のう構造体を使った既存のり面補強工法の開発が大詰めを迎えている。18日に、茨城県つくば市の防災科学技術研究所にある大型耐震実験施設で高さ4メートルの実大規模の盛り土を再現して検証実験が行われ、新工法による補強効果を確認した。実現場での試行を経て、早期の実用化を目指す。
 今回の検証は、国土交通省から神戸大学が受託し、15年度から3年間のスケジュールでスタートした「沢埋め道路盛り土の経済的な耐震診断と耐震補強の開発」の一環として実施した。
 実験では、長さ11・1メートル、幅2・7メートルの土槽に、盛り土高4メートル、のり面勾配約40度の模型地盤を構築。直径20センチ、長さ50センチの土のう袋に、盛り土を構築したのと同じまさ土を詰めて30キロにした。
 この土のう袋を横に5列、縦に8段積み上げ、高さ1・4メートル、幅1・6メートルの構造体でのり先を補強。正弦波による加振を50ガルから段階的に行い盛り土の損傷状況を確認し、大規模地震に相当する500ガルまで対応できるという結果が得られた。
 のり面の耐震性能を向上させる方法として、コンクリート擁壁で補強する方法がある。土のう構造体による新しい補強方法は、ショベルで現場の土を削って土のう袋に入れて積み上げる簡易な作業で済み、大型車両の入りづらい狭い場所でも有効という。低コストで導入できることも期待されている。
 渋谷教授は「災害復旧に使われる土のうを恒久的に使おうという発想だ。補強の必要なのり面は全国各地にあり、誰でも安くできる工法が求められている。土のうに詰める中詰め材の粒度改善にも取り組みたい」と話している。
 研究グループには神戸大のほか、東京海洋大、近畿建設協会、復建調査設計、太陽工業、国土防災技術、ライト工業、日建設計シビル、神戸市立工業高等専門学校、応用地質、防災科学技術研究所、前田工繊、鐵鋼スラグ協会の研究者らが参加している。
 道路のような線状構造物は、地震などの被害で1カ所の盛り土が崩壊しても救急活動や物資輸送が困難になる。東日本大震災を受けた地盤工学会の提言では、「膨大なストックである道路盛り土の危険箇所を素早く低廉で確度高く判定できる技術と効率的・経済的に実施可能な補強工法開発」が喫緊の課題の一つと指摘している。

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