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ドローン―活用範囲が拡大/資材運搬や高圧線架設に応用/航行技術向上が課題  [2017年9月14日3面]

山林上空を飛ぶドローン

テラドローンが開発した Terra Powerlifter

 建設関連の分野でドローン(小型無人機)活用範囲が拡大している。レーザースキャナーを積んだ機体で山林や高低差がある複雑な地形のデータを取得したり、赤外線カメラ搭載機を太陽光発電パネルの点検に用いたりするケースに加え、複数台での資材運搬や高圧線架設作業への応用を模索する企業も出始めた。単に測量を行うだけの空撮機の枠を越え、物理的な力で生産効率化を目指す第2幕へと移行しつつある。
 「今は測量での利用が主流だが、最大の需要はインフラの点検だ。2~3年後にダムや橋の点検事業を展開したい」。ドローンでの空撮・画像解析などを手掛けるトライポッドワークス(仙台市青葉区)の佐々木賢一社長は、目視点検が困難な高架橋やトンネルなどインフラの点検分野にこそ、ドローンが本領を発揮する余地があると分析する。
 欧米などで進む宅配便への活用などは単なる話題先行型事業に過ぎず、真の需要は構造物の維持管理にあるとみて、赤外線カメラを装着したドローンでコンクリートの空洞や内部劣化を調査する事業を構想する。
 佐々木社長によると、太陽光発電パネルの点検にドローンが使われているが、撮影対象のパネルは上方を向いているため、比較的容易に航行・撮影を行える。一方、ドローンで橋やトンネルの劣化状況を把握するには、構造物の内側に機体を寄せて静止させるなどの高度な飛行技術を開発する必要がある。
 佐々木社長は点検用途以外にも「複数台を制御できれば(ワイヤを付けて)鉄筋などの資材を運んだり、鉄塔に高圧線を引いたりするのにも使える」と新たな展開を思い描く。
 同社はITサービスのアイネット(横浜市西区、梶本繁昌社長)やドローン学校を運営するDアカデミー(東京都千代田区、依田健一社長)などと提携し、今月27日、千葉県君津市に全国最大級となる広さ14万平方メートルのドローン飛行場を開業する。
 事業相談や操縦訓練、システム開発などを共同受注しながら、飛行場利用者らと実証試験を実施。ボタン一つで自動航行するドローンを実用化し、インフラ点検や災害被災地支援などへの事業拡大を目指す。
 国内外でドローン測量や機体開発などを手掛けるテラドローン(東京都渋谷区、徳重徹社長)は今春、プロペラの代わりに帆を張った固定翼無人機「Terra Powerlifter」の飛行に成功した。2サイクルガソリンエンジンを搭載し、約2時間の長時間飛行を実現。高精度のレーザースキャナーで上空200メートルの高所から森林や急傾斜地、災害現場など多様な対象地の測量事業を展開し、他社との差別化を狙う。
 アイネットらと業務提携したドローン・ジャパン(東京都千代田区、勝俣喜一朗社長)の春原久徳会長らが著した『ドローンビジネス調査報告書2017』(インプレス総合研究所編)によると、ドローンビジネスの国内市場規模(軍事用除く)は、15年度の175億円に対し17年度は533億円と3倍に拡大。5年後の20年度に1423億円、22年度には2116億円と加速度的な市場拡大が見込まれている。
 春原会長はドローン事業の課題として、強風に弱いことと、高度制御を気圧計とGPS(衛星利用測位システム)に依存しているため、GPS感度の低い棚田上空などでの高度維持が困難な点を挙げる。
 GPSや気圧計に頼らず、複数台を制御したり、構造物の至近で一時静止したりする航行技術を確立できれば、ドローン事業の可能性は飛躍的に広がる。

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