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国交省/発注者のあり方で中間まとめ案/地域企業向け市場形成、自治体の体制補完強化  [2017年11月14日1面]

 国土交通省は、今後の発注者のあり方について議論している有識者会議に中間取りまとめ方針(案)を提示した。地域の守り手を確保するための地域企業向け市場の形成や担い手確保に役立つ入札契約方式の改善、技術基準類の標準化・共有化、地方自治体の発注体制の補完などを今後の発注行政の方向性として示した。
 議論を進めているのは、「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)の下に設置された「今後の発注者のあり方に関する基本問題検討部会」(小澤部会長)。12月中旬以降に懇談会と検討部会を合同で開いて中間取りまとめ方針を固め、18年度以降の施策を審議する。
 方針(案)は10日の検討部会で示され、今後の発注行政の方向性を、▽企業評価・技術者評価などのあり方▽入札契約方式のあり方▽監督検査のあり方▽建設生産・管理システム全般-の四つの柱で提示した。
 企業評価ではこれまで、経営事項審査(経営力)や技術力を基に一律の等級付けを行って入札参加資格を区分してきたが、今後は、全国やブロック単位を市場とする大企業・中堅企業の「全国・ブロック企業」、主に都道府県や市町村を市場とする中堅・中小企業の「地域企業」、「専門工事企業」といった「企業群」ごとの多様な評価を導入。企業が受ける評価を選択可能とすることで、自らの経営戦略に応じて市場を選択できる「選択マーケット制」(仮称)を検討するとした。
 選択マーケット制は、定期の競争参加資格名簿作成時に、企業の希望により従前の等級にとどまることを認める「残留措置」の制度化につながる。
 大規模構造物などの修繕工事に関する工種の新設や、地域企業の市場を確保する必要のある工種で等級の設置など、今後の大量維持更新時代への対応に必要な措置を順次導入できるよう早急に検討。等級区分の設置や地域要件の適用、災害活動の評価などにより、地域企業向け市場を形成することを打ち出した。
 地域発注者協議会などを活用して中長期的な事業量を確保・公表するとともに、発注者と地域企業が一緒になって地域防災力の維持・向上を図るための方策を検討する場を設けることも提案。発注体制の補完や技術職員が少ない自治体などの支援については、事業促進PPP制度や包括業務契約制度などの積極導入や、必要な人材を登録する制度などの検討を盛り込んだ。
 多くの発注者で活用できるよう、工事の内容や地域特性を考慮した積算システムの標準化・共有化も検討。複数の発注機関で工事成績評定の相互評価が行えるよう基準類の策定や検査官などの人材育成を支援。測量・調査・設計業務や工事などに関する技術者データベースを統合運用し、工事成績の相互利用や監督・検査の人材育成支援に活用する取り組みも拡大する。海外工事の実績や成績を国内工事で活用する制度の構築も打ち出した。
 方針(案)の主な内容は次の通り。
 ■企業評価・技術者評価などのあり方
 【多様な企業評価や発注標準の仕組みの構築】
 ▽全国・ブロック企業、地域企業、専門工事企業などの企業群ごとに、新技術・工法などの開発、働き方改革なども加味した多様な企業評価
 ▽企業自らが経営戦略に応じて、市場を選択できる制度の導入
 ▽今後の大量維持更新時代に対応できる工種や等級の見直し
 【地域の守り手を確保する仕組みの構築】
 ▽高い技術力や現場力を保持している企業が、より大きな規模の工事へ参加できるようなインセンティブのある制度の構築
 ▽毎年一定の工事量が発注される維持修繕工事や小規模工事について、フレークワーク方式の導入を法的位置付けも含めて検討
 【プロモーションを可能とする技術者評価の仕組みの構築】
 ▽測量・調査・設計業務や工事などに関する技術者データベースの統合運用、監理技術者の代替制度の導入、企業のバックアップ体制の評価など
 ■入札契約方式のあり方
 【価格と技術に優れた契約相手の選定】
 ▽企業、技術者、技術提案などをバランス良く配点、新技術の導入を推進するなどのテーマの設定、チャレンジ型などの拡大、複数の発注機関で技術的評価の相互利用など
 【現場条件や環境に見合った積算システムの改善】
 ▽ICTなどの活用による効率的かつ即時的な施工データの収集などの積算システムの改善
 ▽単価契約やコストプラスフィー契約などの多様な契約方式の検討
 【工事の特性に応じた多様な入札契約方式の採用】
 ▽技術提案・交渉方式の拡大
 ▽1者応札が続く工事などについては、複数年契約や確認公募型の随意契約の適用の拡大、再度の入札に付しても落札者がない場合に随意契約できる仕組みなどを検討
 ▽「災害復旧における入札契約の適用ガイドライン」の普及・拡大
 【政策推進のための施策や評価項目の設定】
 ▽施策を推進する過程では総合評価方式の評価項目として設定することを考えられるが、企業や技術者の工事の品質に関わる評価と比べて、一定の評価点を上限に設定して評価
 ■監督検査のあり方
 【工事品質の信頼性の向上】
 ▽監督・検査に関する人員の確保
 ▽公共工事の品質確保や不正防止のため、新技術を導入し、計測データや映像などによる電子データによる状況確認への転換
 ▽長期性能保証付契約の活用や「公共工事長期品質保証制度(仮称)」の創設
 【監督・検査業務や品質管理の効率化】
 ▽ISOなどを活用した受発注者の協働による品質管理マネジメントの構築
 ▽第三者品質証明に携わる技術者資格制度の創設
 ▽受発注者双方において不断に書類の統一化・簡素化、情報共有システム(ASP)などの活用、3次元データなどによる監督・検査業務の効率化・合理化など
 ■建設生産・管理システム全般
 【中長期的な担い手の確保・育成】
 ▽市場の実勢価格を適切かつ迅速に積算へ反映できるよう、引き続き設計労務単価や技術者単価の改定を図る
 ▽建設現場の生産性向上を図るとともに、技術者・技能者の働き方改革を進める
 【建設生産・管理システムにおける効率的・効果的な大循環の実現】
 ▽CIMモデルを活用した3次元データを基盤とする公共工事情報プラットフォームの構築
 ▽既設計成果などの3次元データへの転換および新規の調査・測量・設計業務のCIMモデルによる3次元データの納品義務化
 【計画・調査・測量・設計分野の改革】
 ▽プロポーザル(企画提案)方式、総合評価方式、価格競争方式の適正なバランス、ダンピング対策に努める
 ▽週休2日を前提とした適正な契約期間の確保、3月納期集中の緩和などの業務の平準化
 ▽工事に入る際の3者会議の開催に加え、設計に入る際の3者会議の開催
 ▽地盤情報の統合、共有化したデータベースおよび品質の評価を行う制度などの構築
 【i-Constructionの推進や新技術導入促進】
 ▽CIMモデルに関する標準的な仕様の整備および測量・調査・設計・施工・維持管理で一気通貫の流通・利活用の推進
 ▽スランプなど品質規定の見直しや、プレキャスト製品やハーフプレキャストなどの規格の標準化に関する技術基準の策定
 ▽公共事業の科学技術イノベーション転換の推進
 【公共事業のマネジメントの向上】
 ▽中長期的な建設投資の見通しなどの公表
 ▽発注体制の補完や技術職員が少ない地方自治体などの支援に関し、事業促進PPP制度などの導入、必要な人材を登録する制度など
 【海外展開の促進】
 ▽海外実績、成績などの国内工事への活用。

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