建設業の造り方改革

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建設業の造り方改革-業界団体の取り組み・中/後進性克服に不退転の覚悟  [2017年9月26日]

 ◇「皆が決まり守る」成否のカギ
 「産業の後進性を克服するラストチャンス。不退転の決意で行う覚悟と考えてほしい」。日本建設業連合会(日建連)が働き方改革に関する四つの新たな取り組みを決議した22日の理事会後の記者会見。山内隆司会長はそう決意を示した。「(営業や施工への)影響は大きい」(山内会長)のを承知の上で改革に臨む構えを見せた。
 日建連が会員企業に行った時間外労働のサンプル調査では、職務や時期によっては100時間を大きく上回る月があった。時間外労働が仮に年1200時間とするなら、繁忙期ベースの法規制(年720時間)に対応するには4割削減が最低条件。独自の「自主規制」で目標とした19~21年度年間960時間以内の達成には2割削減が必要となる。
 「『○年×月までに造っていただきたい』。民間の得意先からの依頼に社内が困惑している」。トップの指示で時間外労働を毎月60時間に減らす環境整備に乗りだしたゼネコンの経営部門の職員は、業界の現状をそう語る。
 週休2日や自主規制といった日建連の働き方改革に関し、会員企業は「業界を挙げた生産性向上の成功がただし書きとしてある」(押味至一副会長)との認識で一致するが、「週休二日実現行動計画試案(案)」に明記したように「4週4休ないし6休」が現実だけに、工期延伸が必要という考えが根強い。実行には工期延伸への理解を得る行動と同時に、「短工期での受注を断念する姿勢」(準大手ゼネコン)も問われる。
 施工サイドには、職員・施工班の手だてや資機材費などを考慮した適正工期がある。しかし受注産業の建設業は、施主の期待に応え、受注を確実にするために適正工期の針が施主側に振れやすい。
 現場では、「工期順守の保険」(別の準大手ゼネコン)として毎月の時間外労働の上限が100時間程度の労使協定が常態化している。「短工期が現場の疲弊を招いた」(ゼネコンの労働組合関係者)こともあり、ある団体の調査では「自分の子どもを建設産業に就職させたい」という回答は1割にとどまった。
 「作業員の法定福利費が入る。営業統括(の上司)が言う週休2日の経費を含めた応札では受注は厳しい」「100時間超の労使協定に労働基準監督署の押印を得るのが難しくなっている」。働き方改革への対応を迫られたゼネコンの営業と施工の前線は大きく揺れている。それでも4週8閉所の実現をうたう会員企業が登場。通常稼働日の作業時間を拡大し、休日1日分の作業時間を工面することに首脳が前向きな企業や、生産性向上の成果を受発注者で享受する手立てを探る企業もある。
 「例外はあるが、全体として週休2日に持っていく」(宮本洋一副会長)。日建連は会員企業の対応に大きく期待する。半面、少なからぬ不安も抱く。週休2日を前提とした長い工期設定の提案が増えても、工期が不当に短い応札が出れば改革は進展しない。「他社の動向を注視する」という会員企業は多い。「工期ダンピングの断固排除」(行動計画試案〈案〉)をはじめ、改革の成否は「決まりをみんなで守れるかどうか」(事務局幹部)が左右する。
 《働き方改革に関する日建連の主な取り組み》
 ■働き方改革推進の基本方針
 △週休2日の推進△総労働時間の削減△賃金水準の向上△社会保険加入促進△生産性の向上△下請取引の改善△けんせつ小町の活躍推進(現場環境の整備、女性の登用△建設キャリアアップシステムの活用△適正な受注活動の徹底(価格・工期・契約条件のダンピング排除)△官民の発注者への協力要請
 ■時間外労働の適正化に向けた自主規制
 △19年3月まで=月100時間未満の早期実施に努める△19~21年度=年間960時間以内(月平均80時間)、6カ月平均で休日労働含め80時間以内、1カ月で休日労働含め100時間未満△22~23年度=年間840時間以内(月平均70時間)、4・5・6カ月それぞれの平均で休日労働含め80時間以内、1カ月で休日労働含め100時間未満
 ■週休二日実現行動計画試案(案)
 △週休2日は21年度末に適用困難事業所を除きすべての事業所で実現△19年度末に適用困難事業所を除くすべての事業所で4週6閉所以上の実現を中間目標△建設サービスは週休2日で提供△日給月給の技能者の総収入を減らさない△適正工期の設定を徹底△必要な経費は請負代金に反映
 ■改めて労務賃金改善の推進
 △下請発注の合理的な請負代金の決定△1次を通じて2次以下の下請会社にも公共工事設計労務単価を交付△優良技能者認定制度の推進(建設キャリアアップシステムの構築に伴う制度の充実)△適正な受注活動の徹底

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