持続させよ 地域建設業の力-2017全建 地域懇・ブロック会議

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持続させよ 地域建設業の力・下/経営基盤安定に適正利潤を  [2017年11月7日]

低入札調査基準の見直しは初回の関東甲信越地区の会合から議題になった=10月4日午後、東京・大手町の経団連会館で

 ◇政府・与党へ「総意」申し入れ
 「地域建設業が果たす役割への期待に的確に応えるには、適正な利潤を確保し、経営基盤を安定させ、担い手を確保・育成することが不可欠」(檜山典英広島県建設工業協会会長)。
 会合では入札・契約と施工を巡る議論にも多くの時間が割かれた。「利益の圧迫により適正な労務費が作業員に行き渡るのが難しくなる」。奥村太加典大阪建設業協会会長がそう指摘したのをはじめ、予定価格の90%が上限となっている低入札価格調査の基準額見直しや上限撤廃の要望が今回も相次いだ。
 調査基準額は財務、国土交通両相の協議で予定価格の70~90%の間で設定することになっている。4月以降公告の工事では、社会保険加入を促すことも含め算定式への労務費の算入率が95%から100%に引き上げられた結果、直接工事費の算入率が95%から97%に上がり、基準額の平均は予定価格の89%から上限値の90%にほぼ達した。ただ、算入率の見直しで、国の直轄工事では上限値を超える工事も出てきている。
 奥村会長は調査基準額が上限を上回った直轄工事4件を例に挙げ、「平均すると2・5%切られている。10億円の工事なら2000万円以上違ってくる」と指摘。適正利益が損なわれかねない現状の是正を求めた。藏谷伸一長野県建設業協会会長は「6年連続のお願いだ」と対応を要望。東北の各協会もこぞって上限を95%程度とするよう要請した。それでも上限の見直しには大臣協議が必要で時間がかかる。議論は17年度も平行線をたどる形になった。
 会員企業を対象にした利益に関する調査では、3割以上が「悪い」「悪くなってきた」と回答。「(適正利潤の確保をうたった)改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)と運用指針の効果を実感できない部分がある」(川原哲博徳島県建設業協会会長)との声が上がる。全国建設業協会(全建)は「適正利益を得るための意見を真摯(しんし)に発信し続ける」(事務局幹部)方針だ。
 各地区の会合では、18年度に試行運用が始まる「建設キャリアアップシステム」について、「コスト増に対応した予定価格を設定してほしい」(四国建設業協会連合会)と経費の一部負担を求める意見が出た。「条件と現場が一致しない設計と、工期延長に伴う変更に柔軟な対応を」(広島県建設工業協会)と設計変更の円滑化を望む意見も少なくない。国交省の生産性向上策i-Constructionについては、「ノウハウの提供と講座開設への助成」(茨城県建設業協会)や、「機材購入への補助拡大」(北海道建設業協会)を求める意見が多かった。
 近藤晴貞全建会長は1カ月にわたった9地区の会合を振り返り、「10年後を見据えた意見をたくさん伝えられた」と手応えを示し、地域建設業が持続的に発展するための条件に「事業量の安定確保」を改めて挙げた。各協会、会員企業からの意見・要望は24日の全国会長会議で取りまとめ、「全建の総意」として政府・与党に申し入れる。「状況は十分理解してもらっている」(近藤会長)。地域建設業存続・発展への歩みはこれからも続く。
 (編集部・溝口和幸)

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