BIMのその先を目指して・34/樋口一希/bSIロンドン・サミット報告

2017年12月21日 トップニュース

文字サイズ

 2018年に向けて「BIMのその先を目指して」を示唆する重要な会合が行われたので内容を概説して読者各位と情報共有する。

 □BIMのI=Information流通時のコード体系づくりなどにも一石を投じるに違いないGS1コードの存在□

 buildingSMART Japan施工小委員会では11月21日、第7回目の会合を開き、10月30日~11月3日開催の「bSI London Summit」の報告が行われた。「Construction Room」においてScopeとして取り上げられたのが『CDE(Common Data Environment)』『IoT』『4D』『AR&MR』だ。これら各領域、分野とBIMとの密接な関連性を追求することで「BIMのその先へ」が自ずから顕在化してくる。
 流通システム開発センターによる「GS1の紹介-GS1識別コードとその適用事例」も「BIMのその先へ」を感受できる示唆的なものであった。GS1とは、100以上の国と地域が参加する国際標準の流通システムを推進する組織で、GS1コードとは、GS1が定めている国際標準の識別コードだ。
 日常的に目にするQRコードやバーコードにもみられるように、小売業のPOSシステムをはじめ、商品流通に関わるさまざまな業務に利用されており、直近では、インターネット通販の劇的な進化を支えている。
 GS1コードには、商品アイテムコード(GTIN:Global Trade Item Number)と共にロケーションコード(GLN:Global Location Number)、資産タイプコード(GIAI:Global Individual Asset Identifier)も含まれている。
 GLNが企業間取引で必要となる企業・事業所の識別コード、GIAIが企業の資産を管理するための識別コードであることからも、BIMのI=Informationと高い親和性で呼応するのは明らかだ。BIMの普及とともに、BIMのI=Informationの流通も加速化するに際して必須となるコード体系づくりなどにもGS1コードの存在は一石を投じるに違いない。
 buildingSMARTが開発を進めているIFC(Industry Foundation Classes)にも同様のことがいえよう。異なるBIM関連ソフト間でのデータ互換に注目が集まるIFCだが、IFCのダイヤグラム自体がコンセプトごと(用途別)に分類されて、下位オブジェクトが上位オブジェクトの属性を継承する階層構造を持っているからだ。BIMが自明となった近い将来、振り返る機会があるとすると、第7回施工小委員会での今回の邂逅は、BIMのI=Information流通のエポックとして記録されるかもしれない。

 □施工BIMの二つのLODを明確化+合わせて成長し変化していく BIMのI=Informationとの関連を定義□

 施工BIMシリーズ3冊目となる日本建設業連合会(日建連)刊の『施工BIMのすすめ』。12月5日、同書をテーマに、これからBIMを導入するゼネコンにとっては「はじめの一歩」となり、導入後、課題に直面しているゼネコンにとっては「社内展開の光明」とするべくスタートアップセミナー2017が開催された。
 「BIM活用のワークフロー」では、BIM導入を一気に行うのではなく、部分的なBIM活用から始め、ノウハウや人材を蓄え、全体的なBIM活用に至る道筋が現状の2次元CADとの関わりで解説された。
 部分的なBIM導入では2次元CADがメイン+BIMは補助資料、中間的な過渡期には前半をBIM・後半は2次元CAD、全体的なBIM活用でBIMがメイン+2次元CADは補助と、BIMによる3次元モデル作成と2次元CADでの作図・修正のタイミングがわかりやすく明示された。
 BIMのLODに関しては、LOD:Level Of Detail=BIMモデルの部位ごとの詳細さを表す度合い、LOD:Level Of Development=BIMモデルのある進捗段階での部位ごとの確かさと、施工BIMのLODを明確に定義し、具体的なモデル図形も用いてわかりやく明示したのが意義深い。BIMのI=Informationは、二つのLODと密接に関連しつつ、成長、変化していく。前半で概説したコード体系との関わりを探るならば、ここでもLODとの親和性の高さが明らかとなる。
〈アーキネットジャパン事務局〉
(毎週木曜日掲載)