BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・35/樋口一希/続・BIMデータを使用した建築確認申請  [2018年1月11日]

クラウド上の中央モデルを活用したデータ連携(出典:大塚商会BIMナビ)

 18年は「BIMの課題と可能性」第130~132回で取り上げた「BIMデータを使用した建築確認申請」の続報から始動する。独立系の建築設計事務所フリーダムアーキテクツは、BIMベンダーなどと協働して4号建築物に限定し確認申請の仕組みにBIMデータを持ち込み、確認済証の受領を実現していたが、それらスキームを木造3階建てまで拡張するもの。

 □設計時に2階以下では不要の構造計算を行い高度な安全性確保が必須となった木造3階建て住宅□
 国土交通省の「木造3階建て住宅及び丸太組構法建築物の建築確認統計について」(17年6月26日)では、木造3階建て以上戸建てなど住宅の16年度累計棟数は2万5869棟(前年比6・6%増)となっている。増加の背景には、土地の高度利用、二世帯住宅、ゆとりある住宅の実現など木造3階建て住宅へのニーズの高まりがある。
 一方で、木造3階建ては、2階建てとは建築基準法上の制限が異なり、確認申請書に構造計算書を添付することが義務づけられており、軒高9メートルまたは最高高さ13メートルを超えると適判の対象となる。加えて居室の採光、道路に面する壁面の非常用進入口、排煙計算などへの配慮も必要だ、今回の拡張スキームによって国内のほぼ全ての木造住宅のBIMによる確認申請が可能となった。

 □4号建築物用の確認申請テンプレートをベースに新たに構造計算などの4項目をチェックリストに追加□
 4号建築物のBIMデータによる確認申請では、BIMソフト「Revit」のベンダーであるオートデスクの「Autodesk App Store」(https://apps.autodesk.com/ja)上で確認申請テンプレートが無償一般公開されているが、それらテンプレートをベースに、新たにチェックリストに4項目=「構造計算」「採光」「換気」「排煙計算」「日影計算」を追加する方法としている。
 1.構造計算=設計事務所(フリーダムアーキテクツデザイン)によるRevitの意匠モデルを構造設計事務所(トランスコスモス)へ渡し、別途構造計算ソフトにより構造計算を実施。計算内容を反映したRevit構造モデルを意匠モデルとリンクして確認検査機関(住宅性能評価センター)にRevit生データとして提出。
 2.採光・排煙・換気計算=BIMデータの情報から計算書のベースを自動作成。
 ※RevitのアドインであるREXJを用い、ファミリの属性情報であるサッシの幅、高さ、開口係数などのパラメータ情報を自動で拾い、採光・換気・排煙計算を実施。
 3.日影図=BIMデータの高さなどの情報から日影図のベースを自動作成。
 ※RevitのアドインであるADS-BTを使用
 4.その他データ連携=一つの中央BIMモデルを中心にプロジェクトメンバーの作業を同期できる機能やRevitを立ち上げなくてもブラウザでデータ閲覧できる機能などオートデスクのクラウドサービスを活用してCDE(Common Data Environment)構築へ向け検証を開始。

 □他のBIMベンダーへも波及している木造以外の建物や特殊建築物の申請も視野に入れた動き□
 BIMデータを用いた建築確認申請の可能性を探索する中で、改めてBIMのI=Informationの有効性を再認識させられた。この分野へのAI導入なども可能となるはずだ。今回のプロジェクトで協働している各社共に、今後も木造以外の建物や特殊建築物での申請も視野に入れ、BIMデータを使用した申請・審査プロセスの確立と普及を目指して協業体制を継続していくとのことだ。
 開発途上のため公にはできないが同様の動きはオートデスク以外のBIMベンダーにも広がりをみせている。機会をみて報告したい。〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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