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ゼネコン各社/ESG経営強化の動き/世界規模で投資増加、中期計画の柱に据える社も  [2018年1月16日3面]

 ゼネコン各社の間で、ESG(環境・社会・企業統治)への取り組みを強化する動きが広がっている。ESGに力を入れる企業への投資は世界規模で急増しており、国内外のさまざなステークホルダーと関わりを持つゼネコンにとって、中長期の持続的な成長を目指す上で欠かせない経営指標の一つとなる。18年度にスタートさせる中期経営計画でESGを主要テーマの一つに据える企業も目立つ。
 ESG投資では、投資判断に環境・社会・企業統治といった非財務情報を考慮する。長期的な視点と企業の持続的成長を促す投資とされる。ESG投資額の統計を取っている国際団体の調査によると、14~16年の2年間で世界全体のESG投資額は25・2%増加し、22兆8900億ドル(2541兆円)となった。
 鹿島の押味至一社長は日刊建設工業新聞などとのインタビューで、「18年度にスタートさせる中期経営計画でESGへの投資を計画的に行っていく」と明言した。環境面の取り組みについて、「ゼネコンは生産をしていく立場なのでエネルギーを縮小することは難しい。代替の投資が必要となる」と強調。「2030年くらいまでの目標はクリアできそうだが、次の50年を見据えた準備をしておかないと、急激には対応できない。バイオマスや水素エネルギーの活用なども視野に投資を進めたい」と述べた。
 熊谷組は、昨年11月に発表した22年度までの中長期経営方針で、長期的な成長を実現すると同時に、持続可能な社会の形成に貢献していくため、ESGの視点を取り入れた経営を強化していくとの方針を示した。樋口靖社長は、インタビューで「利益を上げるだけでなく、社会貢献をどうしていくかが大きなテーマとなる。昨年、資本・業務提携した住友林業はESGの取り組みで先行している。同社からも学んでいきたい」と話した。
 投資機関からの評価付けも始まっている。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)ジャパンは、時価総額上位500銘柄からESG評価に優れた企業を選定。昨年12月時点でゼネコンは大成建設、鹿島、大林組、清水建設、長谷工コーポレーション、西松建設がリスト入りしている。
 不動産市場でもESGに配慮した建築物は市場での優位性が認められるようになった。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に代表される環境性能の優れたビル、働きやすく快適性に配慮したビルが増えてきているという。
 東急不動産ホールディングスの大隈郁仁社長は年頭所感で、「当社グループの持続的成長の実現のため、基盤であり事業チャンスともなるESGにもしっかりと取り組もう」と社員に呼び掛けた。鹿島の押味社長は、ロングライフビル推進協会会長としての立場から「今後、ESGに配慮して計画的に既存ビルの改修などを行っていくことができれば、世界のESG投資をわが国の不動産市場へ呼び込める大きな機会となる可能性がある」と期待を語っている。

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