BIMの課題と可能性

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BIMの課題と可能性・11/樋口一希/BIMソフトと設計者との連携・1  [2014年4月3日]

設計者自身が「リアルウォーカー」を用いて施主にプレゼンテーションした事例(鴻池組提供)

 鴻池組(大阪本社)の主に設計組織におけるBIMソフト運用の現状と課題について報告する。


 □国交省が「BIMガイドライン」でLOD指針を公表/BIM運用の各社とも自社LODの策定を模索中□

 鴻池組への取材準備中の3月19日、国土交通省は大臣官房官庁営繕部整備課施設評価室として『「BIMガイドライン」の策定とその運用について』を公表した。このガイドラインで特に注目できるのが「基本設計図書作成のLODの目安」への言及だ。

 LODでは、基本設計、実施設計などのプロセスごとに構築するBIMモデルの詳細度の目安を組織内で共有し、運用するためBIMモデル構築の効率化が図れる。

 鴻池組でも自社独自のLODの策定を視野に入れつつ、BIMソフトを用いて、実施設計の基本設計への前倒し連動などによる設計プロセスの革新に着手した。


 □BIM推進のロードマップで組織内の合意を形成/設計者を徹底サポートするBIM推進課の存在□

 2010年度に建築設計部門では「BIM推進3カ年」計画を策定し、BIMへの取り組みを本格化させた。特筆できるのは、BIMで実施設計まで行うプロジェクトを具体的に決定し、実践、検証する中でBIMソフトと設計者との連携を深化させていったことだ。12年度からは、建設会社として設計・施工の優位性を活かすべく、工務部門、施工現場を加えた「BIM活用による建築工事の革新3カ年計画」も進行している。それらBIM推進のための取り組みを主導しているのがBIM推進課だ。

 「設計者が使うのを大前提としてBIMソフトを選定し、成果を定量化、可視化して現実のものとするためにシステムの管理、運用、サポート、教育を担っている。建設会社としての優位性を活かすため施工段階でのBIM運用も視野に入ってきた」。(鴻池組設計本部設計管理部BIM推進課課長代理・内田公平氏)


 □BIMでのプレゼンで施主からも高い評価/設計者のモチベーションの高まりも実感□

 2次元CADシステムを使いこなしている設計者も、建築の3次元モデル構築がいかに困難かはわかっていたため、BIMソフトへの拒否感は強かった。3次元モデルを構築しても実務で必要な図面はできないではないか。仕掛り中の案件で多忙なのに、何故、3次元モデル構築の研究をする必要があるのか、などだ。

 BIM推進課が最初に着目したのは、施主への「見える化」対策に、設計者を巻き込むことだった。プレゼンテーションを控えた案件を選び、3次元で建物内もウォークスルーできるソフト「リアルウォーカー」を用いて施主に説明し、高い評価も受けた。

 施主の喜びの声を直接聞けば、設計の初期段階からBIMソフトを使おうと、設計者のモチベーションは上がるし、「施主と設計者のよりよい関係の見える化」の実現を設計者が体感できる。


 □BIMソフト選定の基準として重視したのは入力時間短縮+ソフト習得のスムーズさ□

 鴻池組の設計組織では、基本設計、実施設計において福井コンピュータアーキテクトBIMソフトのBIM建築設計システム「GLOOBE」を採用。施工手順をイメージするようなモデル入力方法や、建築実務に合ったコマンド群で構成され、従来のBIMソフトに比べ入力時間を短縮でき、ソフト習得もスムーズに進行する。

 すでに設計組織では実際の案件にBIMソフトを使用しており、BIMソフトによって設計者自身が「設計の見える化」が実現可能なのを実感し始めた。

 次回はBIMソフト運用を通して設計者の意識がどのように変化し、具体的な成果として結実しているのかについて報告する。

 〈アーキネット・ジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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