論説・コラム

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回転窓/責任の取り方  [2018年4月11日1面]

 昭和初期に神奈川・箱根のつり橋で、修学旅行に来た女学校の生徒たちが巻き込まれた事故のことを、物理学者の寺田寅彦が随筆に書いている▼引率した先生が記念写真を撮るので、渓流に架かるつり橋に大勢の生徒が並んだ。するとつり橋の揺れに驚いた生徒たちが騒ぎ立てたことで、揺れはさらに大きくなり、鋼索が切れて落橋。多くの死傷者が出たという▼責任は先生にあるのか、抵抗力の弱い橋を架けた地元の人にあるのか。寺田はどちらにも全く責任がないとは言われないだろうとしながらも、「こういう災難に逢った人を、第三者の立場から見て事後に咎め立てするほどやさしいことはないが…」と指摘する〈『地震雑感 津波と人間』(中公文庫)の「災難雑考」〉▼何らかのミスで事故が起きた場合、当事者の引責辞職で全てが終わる訳ではない。むしろ中心となって原因究明などに当たるのが、有効な対策につながることもあろう。先の随筆ではこうした必要性も構造物の設計に例えて説く▼今年は寺田生誕140年。さまざまな事柄を科学と文学の視点で捉えた数々の随筆から、現代に生かせる教訓は多い。

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