技・人づくり専門工事業ファイル・11/アイコー(東京都中央区)

2018年4月17日 トップニュース

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 ◇配筋図作成で差別化/ベトナム法人、5月に本格始動

 鉄筋施工と材料販売のアイコー(東京都中央区、相場康雄社長)は5月に、ベトナム・ホーチミンに立ち上げたアイコーベトナム(社長・藤池晴行アイコー常務執行役員)の業務を本格始動する。CADを学んだ人材を現地で登用し、日本でゼネコンから受託する配筋図(納まり図)の作成を効率的に進める。工事や材料の契約につながる図面作成を強みにした事業展開を一段と強化する狙いだ。
 アイコーは1983年に鉄筋丸棒、一般鋼材、建築資材の販売を主業務に創業。建設業許可を取得し、20年ほど前から材工一体での事業展開を手掛けるようになった。鉄筋加工のデーバー加工サービス(東京都中央区)、システム販売のデーバーインフォメーションネットワークス(同)などを子会社に持ち、300人近い体制で鉄筋を主力とする事業展開を図っている。売上高は100億円程度で推移している。
 大手ゼネコンや準大手ゼネコンを主要顧客に東京、埼玉、千葉、神奈川の各都県を中心として鉄筋施工を手掛ける物件は、商業ビルや高層マンション、物流倉庫のほか、最近は公共の病院や老人ホームなども増えている。現場では社員職人や協力会社を含め、400人ほどの体制で施工に従事する。施工管理やCADオペレーターとして入社した人材も、まずは現場を経験することからスタート。現場施工を熟知した上で、それぞれの業務に当たれるようにする。
 同業他社と異なる特色は、設計図面から施工図や配筋図までの作成業務を受託し、その後の材料や工事の契約を有利な条件で進められるようにしている点だ。元来手書きで図面や材料の数量出しをしていたが、効率的に進める目的で独自のCADシステムを導入。「ゼネコンの手伝いとして取り組んでいたものが徐々に需要が広がり、業務として受託するようになった」(相場社長)という。
 今では大手ゼネコンから受注する工事のほとんどが図面契約を含んでいる。これによりコスト削減提案を含めて付加価値の高い受注に役立てている。6~7年前から本格化した図面作成の受託により、工事の受注量が格段に増えたゼネコンもある。
 受注の有力な武器となる図面作成をより効率的に進めようと、同社は昨年2月にアイコーベトナムを発足。CADの専門学校に通っていた現地の人材を5人雇用し、4月末まで行う日本での研修を経て、5月にいよいよ業務が始動する。
 アイコーが日本でゼネコンから受託した業務内容をいったんベトナムに転送。アイコーベトナムで納まり図を8割ほど仕上げた上で、日本のオペレーターに戻して最終仕上げをして納品する。こうすることで業務の効率化とコストダウンが可能となる。いずれはアイコーベトナムの陣容を15人ほどに増やし、図面作成の需要をさらに取り込める体制を築く。
 複数の鉄筋施工会社が入る大規模現場では、他社の施工部分も含めて図面作成を受託することによって、材料販売に貢献する場合もある。日本とベトナムを車の両輪にした事業展開で、付加価値の高い施工の提供に一段と力を入れる。