風をつかむ

風をつかむ-市場展望・7/不退転の覚悟で地域と事業推進 [2021年8月6日]

 構成機器や部品数が数万点に上る洋上風力発電設備。風車を製造する日本メーカーはいないが、潜在的なサプライヤーとされる企業は数多い。国内調達比率を2040年までに60%とする目標達成に向け、設備投資など産業界の取り組みも今後本格化する見通しだ。

 日本風力発電協会の加藤仁代表理事は「洋上風力は先進国で完結するものづくり産業といえる。先行する欧州の労働賃金や技術レベルなどを見比べても日本は遜色なく...続きを読む

風をつかむ/市場展望・6/SEP船確保が競争力の鍵に [2021年8月5日]

 建設各社が技術力を競う舞台として注目している洋上風力発電事業。施工者としての競争力を高めるため各社は技術力を磨いたり、SEP(自己昇降式作業台)船を確保したりなど準備を急ぐ。

 資材を効率的に運搬できるSEP船は建設コストを削減し、競争力を高める上で欠かせない。清水建設は500億円を投じて世界最大規模のSEP船を建造する。エンジニアリング事業担当の山地徹副社長は洋上風力発電施設の受注で「トッ...続きを読む

風をつかむ-市場展望・5/国内外で協業・提携広げる [2021年8月3日]

 危険を伴う海洋工事でまず安全性を確保しながら、より経済的な基礎構造などを考える--。洋上風力発電事業のEPCI(設計・調達・施工・据え付け)などで事業参画を狙う建設会社の幹部は、未経験の工事をいかに安全かつ円滑に進めるかを重点課題に掲げる。建設各社は国内外の多分野の企業らと協業・提携関係を築きながら、施工力や技術力の補完を進めている。

 秋田県の港湾区域の洋上風力発電事業で基礎工事を担う鹿島...続きを読む

風をつかむ-市場展望・4/低コスト化など官民で競争力強化 [2021年7月30日]

 洋上風力は政府が目指す再生可能エネルギー大量導入の「切り札」と期待する一方、「コスト改善の余地がある」(梶山弘志経済産業相)など課題が残る。実証事業に長年取り組んできた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、着床式や浮体式の損益分岐点など事業性を見定めながら関連技術の開発・実用化を進めている。

 NEDOによると、日本周辺海域での着床式の適地2・1万平方キロ(水深50メートル未満)...続きを読む

風をつかむ-市場展望・3/ビジネス成り立たせ持続可能な産業へ [2021年7月28日]

 発電事業者は公募・入札で選定される。入札制度の導入は競争を促し、適正な市場環境を形成するのが狙い。JERAの矢島聡執行役員は「競争することで知恵を絞るし、リスクも取る」と強調。電気事業者の立場から「もうけ過ぎてはいけないが、もうけなくてはいけない。持続可能な事業にしていかなければいけない」と過度な価格競争をけん制する。

 事業者は応札に向け、長い年月と膨大な資金を投じて風況や海底地盤などの調...続きを読む

風をつかむ-市場展望・2/未知なる市場でリスク分散 [2021年7月27日]

 洋上風力発電事業の大型案件の投資額は数千億円規模に達する。先行する欧州市場ではリスク分散の観点から、保険会社だけでなく再保険会社が加わるのが一般的だ。建設工事では作業時に多くのリスクが伴い、専用の保険への加入が必須となる。複数の海外案件に参画する日系企業幹部は「保険を掛ける際、欧州の機関は安全対策を厳しく評価し、工事のやり方を変える必要も出てくる」と話す。

 保険加入に当たり、事業者は保険・...続きを読む

風をつかむ-市場展望・1/大型化対応、最適解で協調を/国内メーカーの頑張り期待 [2021年7月26日]

 洋上風力発電事業で先行する欧州では、コスト競争力の観点から風車の大型化の流れが一段と強まっている。関連産業やインフラなど事業基盤が脆弱(ぜいじゃく)な日本市場では、一足飛びの大型化を懸念する声も少なくない。幅広い分野の関係者が事業の最適解で協調できるかどうかが、洋上風力の普及拡大への鍵を握ることになりそうだ。(編集部・洋上風力発電取材班)

 洋上風力の風車の規模は現在、発電出力12メガワット...続きを読む

風をつかむ-識者の視点・11/東京大学大学院工学系研究科・石原孟教授 [2021年7月15日]

 ◇大量生産・低コスト化技術確立を

 日本の産業界は単品の技術で勝っても、大量生産の技術になると海外勢に負けてしまう事例が目立つ。洋上風力の研究に長年携わってきた東京大学大学院工学系研究科の石原孟教授は、いかにコストを掛けずに大量に早く造ることができるかが、洋上風力発電事業の鍵になると説く。実践で確立した技術は海外市場での差別化につながると期待を込める。

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風をつかむ-識者の視点・10/オーステッド・ジャパン・笠松純社長 [2021年7月14日]

 ◇日本版ビジネスモデルを構築

 デンマークに拠点を置くオーステッドは世界最大手の洋上風力発電事業会社。潜在需要が期待できる日本市場への参入を目指し、2019年5月に「オーステッド・ジャパン」を設立した。欧州などで30年以上にわたって積み重ねた経験と実績を武器に、笠松純社長は「国内で洋上風力のリーディングプレーヤーになることがミッション」と力を込める。

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風をつかむ-識者の視点・9/秋田県・佐竹敬久知事/地域と長期の共生不可欠 [2021年7月13日]

 商社や電力会社など多くの企業が洋上風力発電事業の実現を目指している秋田県沖。背景には太平洋側に比べ台風災害のリスクが低く、年間を通じて安定した風が吹く恵まれた自然条件がある。秋田県の佐竹敬久知事は洋上風力発電を柱とする新たな地域振興に意欲を見せる。

 --洋上風力発電の可能性をどう見る。

 「秋田では沿岸部を中心に風力発電が導入されており、2月末時点の実績で風車313基、出力約64万80...続きを読む

風をつかむ-識者の視点・8/丸紅洋上風力開発・真鍋寿史社長 [2021年7月12日]

 ◇案件絞り国内シェア10%狙う

 丸紅は国内外で洋上風力発電事業のさらなる参画・運営を強化し、国内のシェア獲得に意欲を見せる。洋上風力発電関連プロジェクトの開発に取り組む丸紅洋上風力開発(東京都千代田区)の真鍋寿史社長は、事業を進める上で必要な港湾などのインフラ整備の重要性を指摘する。

 --丸紅の洋上風力発電事業の方針は。

 「日本は2030年に洋...続きを読む

風をつかむ-識者の視点・7/日本政策投資銀行・原田文代氏 [2021年7月8日]

 大型の建設プロジェクトになり、長期間のメンテナンスが欠かせない洋上風力発電施設。地域経済への波及効果は大きいものの、小さくないリスクが存在し、資金供与や投資を促す金融プレーヤーが重要な役割を担う。政府の官民協議会の委員を務める日本政策投資銀行の原田文代ストラクチャードファイナンス部長(6月14日時点)は「透明性のある魅力的なマーケットの形成が重要」と指摘する。

 --洋上風力を巡るこれまでの...続きを読む

風をつかむ-識者の視点・6/JERA執行役員事業開発本部副本部長・矢島聡氏 [2021年7月6日]

 ◇総力戦で挑み産業つくる

 東京電力と中部電力の資産や人材を引き継ぐ国内最大の発電会社JERA。機動的でクリーンな液化天然ガス(LNG)火力と、発電出力が不安定な再生可能エネルギーを相互補完し脱炭素社会の実現をリードする。再エネ開発事業の柱に据える洋上風力発電を担当する、矢島聡執行役員事業開発本部副本部長兼再生可能エネルギー開発部長は「ビジネスモデルを構築し...続きを読む

風をつかむ-識者の視点・5/GEリニューアブルエナジー・大西英之日本代表 [2021年7月5日]

 ◇現地化進め対応力強化

 米GE(ゼネラル・エレクトリック)は、豊富な知見を結集して洋上風力発電事業を推進する。日本市場への展開に当たっては、東芝と連携し12メガワット級となる最新洋上風車「Haliade(ハリアデ)-X」を投入する方針だ。GEで風力分野を担うGEリニューアブルエナジーの大西英之日本代表は日本特有の厳しい条件も踏まえて技術を開発し、競争に打ち...続きを読む

風をつかむ-識者の視点・4/経済産業省資源エネルギー庁省エネ新エネ部・茂木正部長 [2021年6月25日]

 ◇新技術開発の挑戦環境づくりに意欲

 洋上風力発電の導入拡大にはコスト低減や部品製造など国内産業の育成が不可欠といえる。政府は2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」を創設。課題解決につながる技術の研究開発と実証を後押ししている。洋上風力を含め再生可能エネルギーの普及を主導する資源エネルギー庁の茂木正省エネルギー・新エネルギー部長は、日本企業が新技術の開発...続きを読む