論説・コラム

回転窓/コロナ禍の信頼関係 [2020年12月24日1面]

 近所で活動する少年サッカーチームの選手が落ち込んでいた。翌日の試合のメンバーに選ばれず、「頑張らなきゃ」と薄暗い公園でボールを蹴っていた▼翌朝、練習に行くと「試合に行かないの?」と心配されたという。どうやらメンバーを伝えるメールをコーチが送り忘れてしまったそう。選手には気の毒だけれど、子供を気遣うおわびを受けて、保護者は「安心して任せられる」と信頼を深めたと聞いた▼公立小学校の全学年が2025年...続きを読む

回転窓/改めて手を合わせたい [2020年12月23日1面]

 今年読んだ本の中に『帳簿の世界史』(ジェイコブ・ソール著、文春文庫)がある。栄華を誇った国がなぜ没落したのか。大恐慌はどうして起こったのか。会計の視点で分析した秀作だ▼国や企業、そして家庭も帳簿をおろそかにすればいつか破綻する。収支や資産の状況を把握すること、第三者による監査の大切さがこの本を読めばよく分かる。日本の建設業界は長年「丼勘定」と言われてきた。工事が完成しないと収支が分からない。そん...続きを読む

回転窓/コツコツと地道に [2020年12月22日1面]

 年始のあいさつとして親しい人やお世話になった人に送る年賀状。正月の朝、ポストに届いたはがきを見て安心したりびっくりしたりすると、「新しい年が来たな」としみじみ思う▼年賀状が一般に定着したのは1873年に郵便はがきが発行されるようになってから。年始のあいさつをする風習は平安時代からあり、遠方で訪れるのが難しい場合、貴族や公家、武家などが簡易書簡を送っていたという▼おなじみのお年玉付き郵便はがきは2...続きを読む

回転窓/一人一人の行動変容を [2020年12月21日1面]

 この1年で大きく変わったものは-。真っ先に上がるのは新型コロナウイルスの流行でマスクの着用や手指消毒が日常になったこと。付け加えると日ごろの買い物でも大きな変化があった▼レジ袋を使わずマイバッグを携帯するライフスタイルが浸透した。無駄なプラスチックの使用を減らすため7月にレジ袋が有料化されたのを契機にレジ袋は不要がすっかり定着した▼環境省の調査によると「レジ袋いりません」といった行動をとる人が3...続きを読む

回転窓/災害に強い首都へ [2020年12月18日1面]

 国と東京都が「災害に強い首都『東京』形成ビジョン」を策定した。海面水位より海抜が低い「ゼロメートル地帯」などを中心にモデル地区を選び、水害への備えを強化した高台街づくりを進めるという▼ペデストリアンデッキなどで建物群を結び浸水時にも安全に避難できるようにしたり、公園高台化や高規格堤防などを一体的に推進したりと検討メニューはさまざま。行政や地元関係者らがタッグを組んで実現を目指すことになる▼気候変...続きを読む

回転窓/失敗と成功の歴史 [2020年12月17日1面]

 有機物や水を含むとされるC型小惑星からのサンプル回収を成功させた探査機「はやぶさ2」。世界初の偉業は日本の宇宙技術力の高さを示すとともに、コロナ禍で暗い世相に明るい話題を提供してくれた▼探査機の打ち上げから6年間に及ぶ往復ミッションの成功の裏に、初代「はやぶさ」の実績があったことを忘れてはならない。数々の失敗やトラブルを糧に、サンプルリターンの技術を磨き上げた▼米スペースXが開発した民間宇宙船に...続きを読む

回転窓/身近な美しい景色 [2020年12月16日1面]

 紅葉が終盤を迎え、イチョウ並木では黄色いじゅうたんを見掛けるようになった。冬の訪れを前に木々たちも準備を開始したようだ▼20年前に元マラソン選手で、今も解説者として活躍する増田明美さんに取材したことがある。ランナーから見た道路づくりを聞いたのだが、その時印象的だったのが、競技中に見たナナカマドの紅葉の美しさが忘れられないという話▼札幌市で開かれた大会でのこと。数十キロ走り、少し疲れたところで沿道...続きを読む

回転窓/単純明快でいいのに [2020年12月15日1面]

 通勤電車に乗っていると車内にいる多くの人がスマートフォンを操作している。ニュースにファッション情報、乗り換え案内、ゲーム。片手に収まる小さな端末は必需品の一つになっている▼総務省の2020年版情報通信白書によると、世帯の96・1%(19年実績)が何らかのIT機器を保有し、スマホの保有率は83・4%と初めて8割を超えた。10年実績で9・7%だったスマホの保有率は10年間で9倍になった計算だ▼スマホ...続きを読む

回転窓/接客業の矜持とは [2020年12月14日1面]

 南東北地方の山奥にある温泉駅に忘れてきてしまった手帳を売店の女性が送ってくださった。取材先のメールアドレスを書き留めており、電話口で読み上げてもらうなど大変な迷惑をお掛けした▼「お礼なんて結構ですよ。またいらしてください」。伺うのも、招くのも慎重にならざるを得ない時勢。思いがけない親切な言葉と善意にとても温かい気持ちになった▼駅近くに刀で鬼を退治する大人気漫画・アニメのファンがいわゆる聖地の一つ...続きを読む

回転窓/多様性を支える [2020年12月11日1面]

 「新型コロナウイルスで若者と女性、障害者がとても苦しい状況にある」。11月30日の参院本会議で自民党の今井絵理子参院議員が手話を交えて訴えた。手話を使った質問は参院本会議で初めて▼新型コロナでマスク姿が増え、口の動きを読めないことに困っている聴覚障害者の声があったそうだ。企業での障害者の解雇が増えた現状に触れ、「雇用や生活、人権を守るために、強力な対策を講じる必要がある」と強調した▼今井氏には聴...続きを読む

回転窓/気象観測の要 [2020年12月10日1面]

 気象庁が東京・虎ノ門の新庁舎に移転した。虎ノ門は政府が1875(明治8)年に気象と地震の観測を開始し、当時の東京気象台が皇居北部に移転するまで置かれた場所。大手町の旧庁舎から138年ぶりに創設の地に戻った▼気候変動の影響などを受け自然災害の激甚化、頻発化が叫ばれる中、気象庁の役割も一段と重要性が増す。自然災害から人々の安心・安全を守る気象観測の要として、より精度の高い情報を迅速に発信することが求...続きを読む

回転窓/食べる楽しさ [2020年12月9日1面]

 いつもの年の瀬とはどうも違う。例年であればこの時期は、手帳に夜の宴席予定がびっしり。だが今年は真っ白なまま。今更ながらコロナ禍の影響を感じる▼作家の池波正太郎は、子どものころ「ポテ正(しょう)」と呼ばれていた。手伝いの駄賃がたまるとポテトフライを買って食べていたため、その名が付いたそう。青年時代はカレーライスとチキンライスにはまった。好きな食べ物はとことん極める。そんな性格だったようだ▼50歳を...続きを読む

回転窓/ピンチをチャンスに [2020年12月8日1面]

 年末恒例の「2020ユーキャン新語・流行語大賞」が先週発表され、今年話題になった新語・流行語の年間大賞に「3密」が選ばれた▼1月末に北海道内で新型コロナウイルスの1例目の感染者が確認されて以降、時間がたつにつれ事態は深刻化していった。中国・武漢市のロックダウン(都市封鎖)を「海外のこと」と思っていたら、コロナ禍はあっという間に歯止めがきかない状態になった▼厚生労働省らが呼び掛けた3密の回避。日常...続きを読む

回転窓/季節の便りがなくなる [2020年12月7日1面]

 四季の変化がある日本には季節の到来を感じさせてくれる生物や植物が数多くある。ウグイスやアブラゼミの初鳴き、桜の開花、イチョウの落ち葉…。身近にあって季節の変わり目をいち早く伝えてくれる▼気象庁が1953年に全国統一の観測方法で開始した「生物季節観測」は季節の遅れ進み、気候の違いや変化を的確にとらえる。2020年1月時点で全国の気象台・測候所58地点が植物34種目、動物23種目を対象に、開花や初鳴...続きを読む

回転窓/命を軸に未来社会描く [2020年12月4日1面]

 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が実現へ大きく前進した▼博覧会国際事務局(BIE)は1日のオンライン総会で、日本政府による登録申請書を承認した。各国に対する政府の招致活動も本格化。井上信治万博担当相は早速、在京大使に参加を呼び掛けた▼大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。生命科学やデジタル技術の急激な進化で、命に対する向き合い方や社会の形が大きく変わろうとしている。...続きを読む
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