行政・団体

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

南海トラフ地震の経済被害1240兆円に/軽減策で509兆円縮小/土木学会試算  [2018年6月8日1面]

大石会長

 土木学会(大石久和会長)は7日、南海トラフ地震が発生した場合、その後20年間の長期的な経済被害が1240兆円に上るとの推計を公表した。地震や津波による直接的な資産被害に、生産施設や交通網の破壊などによる経済活動低迷の長期的影響などを加えた。防災・減災対策の実行による被害軽減効果も試算。一定規模の事業費を支出することで大幅に経済被害が軽減できるとした。
 報告書は会長特別委員会の「レジリエンス(防災・減災)確保に関する技術検討委員会」がまとめた。阪神大震災や室戸台風、カスリーン台風など過去の大災害(地震・津波、高潮、洪水の三つ)による長期的影響を調査した結果に基づき、今後起こりうる巨大災害のもたらす被害を推計。道路、河川、港湾別に経済被害、資産被害、財政的被害(国と地方が失う税総額)をまとめた。
 具体的な経済被害は南海トラフ地震が1240兆円、首都直下地震が731兆円。災害後も機能回復が可能な投資を行うことで、経済被害は南海トラフで509兆円(事業費支出額38兆円以上)、首都直下で247兆円(10兆円以上)縮小できると試算した。被害を軽減するのに必要な措置として、同学会が定めるL2(大災害時に機能回復が速やかに可能な)対策の早期実施を提案し、その経済的効果も示した=図参照。
 地震と津波の経済被害は20年累計(阪神大震災被災地の復興状態を参考)、高潮と洪水は14カ月累計(鬼怒川破堤後の復興状態など参考)とした。首都圏のさらなる被害の軽減には人口や生産施設の30%を地方に分散すると219兆円分の減災効果が期待できるとも指摘した。
 このほかレジリエンス確保策を示す「長期プラン」の策定と各施策を推進する防災庁や危機管理庁(日本版連邦緊急事態管理局〈FEMA〉)の設置、防災財源としてPFIの活用、建設国債を中心とした「公債」や特定財源債の発行などを講じるよう提言した。
 南海トラフ地震の被害推計は、内閣府が地震と津波による建築物や工場などの資産被害を最大170兆円と推計している。
 大石会長は「今回の推計には鉄道や発電所などの被害が含まれず、これだけの経済被害が生じるとは驚きだ。このまま巨大災害が起きたら日本が東アジアの小国、最貧国になりかねない。政府は国民にオープンにした形で公的な中長期のインフラ整備計画を打ちたてるべきだ」と述べた。
 検討委幹事長の藤井聡京都大学教授は「(報告内容を)政府に提案したい。どこから対策をやっていくかというところから議論してほしい」と語った。

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。

建設業で本当にあった59話の心温まる物語
およそ500万人が働く建設業界。それぞれ...続きを読む
作業現場が危ない?!熱中症予防・対策マニュアル
熱中症は、早期の対処で重症化を防げる疾患...続きを読む
中小企業の事業性を向上させる税理士の経営支援
身近な専門家である税理士の支援を受け、中...続きを読む
DVD 道路工事の労働災害・公衆災害
安全教育用DVD「つくる!安全現場の一年...続きを読む
国際標準型アセットマネジメントの方法
インフラ資産のアセットマネジメント全体の...続きを読む