論説・コラム

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回転窓/噺家の了見と熟練工  [2018年6月15日1面]

 上方落語の三代目桂歌之助師匠に取材する機会があり、「落語家が最初に学ぶのは噺家(はなしか)としての了見」とうかがった。了見とは考えや思慮、分別などを意味する言葉。「噺家の」と冠が付くと身のこなしや処し方というニュアンスが含まれるようだ▼歌之助師匠いわく、了見は「言葉で表しにくい。師匠の背中から学ぶもの」だそう。自分の振る舞いを通じて弟子にプロとしての心得や身の処し方を伝え、弟子はその姿を見て学ぶということなのだろう▼了見を身に付ける難しさと相通じるものが建設業にもある。それが熟練技術者の蓄積した技能。トンネル壁面の打音検査を若手に教える光景を見たことがあるが、問題がある箇所と無い箇所の音の違いは最後まで分からなかった▼関東地質調査業協会が特に優れた熟練者を「調査の匠」として認定する制度の運用を始めた。初の認定者は3人。認定者を増やしながら、技能をデジタル化・体系化する取り組みを始める▼技能者の高齢化が進む建設業。熟練工の知見を若手に継承するために残された時間は多くない。関東地質調査業協会の取り組みに注目していきたい。

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