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大林組、JAXA/月・火星基地建設材料の製造方法開発/現地調達で運搬コスト削減  [2018年9月13日3面]

マイクロ波加熱で製造した焼成物の電子顕微鏡写真

 大林組は12日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、月や火星の探査に必要な基地の建設材料を現地調達して生産する技術を開発したと発表した。マイクロ波による加熱焼成やコールドプレスといった方法により、環境と構造物の用途に適したブロック型の建設材料が製造できる。地球上で適切な資材が得られない地域で製造するのにも役立つため、地上での応用も検討していく。
 JAXAから支給された月の模擬表土などを用いて試験体(ブロック)を製造。電子顕微鏡での表面観察や圧縮試験による強度確認を行い、基地建設に適用できることを確認した。
 月では水の調達が困難なため、マイクロ波加熱により建材を製造する。月の模擬表土にマイクロ波を照射した場合、およそ1000度以上で一定時間加熱すると固化体が得られる。1100度程度で普通れんが相当の強度を持ち内部に空隙(くうげき)のある焼結物ができ、1100度以上でコンクリート相当の強度を持ち内部に空隙のない溶融物になる。
 月面の重力は地球上の約6分の1のため、居住施設などの構造材料、放射線遮蔽(しゃへい)材には焼結物、より強度が必要なロケット発着場の基盤や道路などは溶融物の使用を想定している。
 コールドプレスは、砂などの原料に粘土鉱物と水を混ぜ、熱を加えずに圧力を加えて固形物を製造する方法。火星には二次鉱物である粘土鉱物が存在し、水は氷の形で得られると推測される。このためコールドプレスでブロック型の建設材料を製造する実験を行った。
 大気の密度が地球の約100分の1の火星表面では、ブロックの強度は地球上で製造するより1割程度増加するため、火星の環境に適した製造方法という。圧力を上げると最大で普通れんが相当の強度が得られる。火星表面の重力は月の重力よりは大きいものの、地球上の約3分の1。居住施設などの構造材料や放射線遮蔽(しゃへい)材などに使用する場合は、普通れんが相当の強度で十分とみている。
 今後、開発した地産地消型の建設材料の製造方法を応用し、ブロックの大型化や実用化に向けた改良を進めていく。
 月や火星への無人・有人探査の機運が高まる中、JAXAは15年に「宇宙探査イノベーションハブ」を設置。大林組は1990年頃、月や火星に建設する基地の材料について、現地資源を利用して製造する方法を研究していた。その成果を生かし、宇宙探査イノベーションハブの研究テーマとして提案。地球からロケットで資材の運搬にかかる膨大なコストを低減し、月や火星での活動を持続可能にすることを目指している。

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