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次世代放射光施設整備(仙台市青葉区)/官民の地域連携体制が本格始動/具体化へ協定  [2018年9月13日4面]

次世代放射光施設の整備位置図

官民地域連携で施設の整備・運営に関わる関係者ら(12日午前、東京・霞が関の文科省内で)

 ◇18年度内に造成工事着手
 物質の構造解析や機能理解などを行う「次世代放射光施設」(軟X線向け高輝度3GeV級放射光源)の整備に向け、事業推進の核となる官民地域パートナーらによる連携体制が本格始動する。国側の実施主体である量子科学技術研究開発機構(量研)と事業推進パートナーである建設地域の官民の関係者が協力し、施設の整備・運用に関する詳細計画の具体化を進めるための協定を12日付で締結した。19年度の本体施設の着工を目指し、本年度中に建設予定地の造成工事に着手する。
 計画では、東北大学の青葉山新キャンパス(仙台市青葉区、約81ヘクタール)内に放射光施設(対象面積約9万2500平方メートル)を整備し、隣接エリアには約4ヘクタール規模のサイエンスパークを設ける。整備期間は19~23年度を見込んでいるが、完成時期の1年前倒しに向けて関係者らとの協議を現在進めている。
 今回締結した連携協力協定により、文部科学省が管轄する量研と、地域・産業界のパートナーで役割分担を明示し、施設の整備・運用の詳細を早急に詰める。
 量研の平野俊夫理事長は12日の協定締結式で「関係者の情熱と行動力が次世代放射光施設という夢の実現に向け、大きな原動力となった。総力を挙げ、オールジャパン体制で必ず成功に導く」と決意表明した。
 官民地域パートナーの代表機関である光科学イノベーションセンターの高田昌樹理事長は「世界無比の放射光技術を実現したこの施設は、知と価値の好循環をわが国にもたらすことは間違いない。一致協力してすべてのサイエンスコミュニティー、産業界とともに実現を目指す」と意気込みを語った。
 次世代放射光施設の概算整備費は約360億円(用地の確保・造成経費含む)。役割分担では、国が約170億円を投じて加速器(ライナック、蓄積リング、輸送系、制御・安全)を整備する。ビームラインは当初10本(約60億円)を国とパートナー側(最大7本、約40億円)で分担整備。基本建屋(約83億円)と研究準備交流棟(約25億円)の建設のほか、土地造成(約22億円)はパートナー側が行う。
 現時点のスケジュールによると、19年度に加速器、20年度からビームラインの整備に着手し、23年度中の完成・運用開始を予定。基本建屋の工期は19年度~21年度半ば、交流棟は21年度半ば~23年度半ばを想定している。
 協定締結式にパートナーとして出席した宮城県の村井嘉浩知事は「施設整備を支援するため、来週開会の県議会9月定例会に総額30億円の関連予算案を上程する。予算が成立すれば造成にすぐ活用できる」と説明。文科省の山脇良雄文部科学審議官も「来年度概算要求で加速器整備の経費として46億円を要求した。わが国の科学技術の進展と国際競争力の強化に貢献する施設の具体化を加速していく」と述べた。
 仙台市の高橋新悦副市長は「地元経済界に大きなインパクトをもたらし、さまざまな相乗効果が見込まれる」、東北大の矢島敬雅理事(産学連携担当)は「施設の利用者にオープンで良好な研究環境を提供し、リサーチコンプレックスの形成に寄与していきたい」とそれぞれ次世代放射光施設への期待感を述べた。
 東北経済連合会の向田吉広副会長は独自に調査した施設稼働後の経済波及効果として、革新的技術による新製品開発などで10年間で約1・9兆円、20年間では約3・9兆円の市場創出効果が見込まれると説明。「新たなイノベーション創出に不可欠な施設であり、世界最先端のものづくり拠点となるように全力で取り組む」と語った。

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