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豊洲新市場開場/築地解体と環2整備が再始動/五輪後の跡地開発にも注目  [2018年10月11日1面]

閉場した築地市場。右側の浜離宮恩賜庭園との間を流れるのが築地川

豊洲への引っ越し作業を見守る市場業者=9日、築地市場で

 東京都が築地中央卸売市場(中央区築地)の移転先として整備していた豊洲新市場(江東区豊洲)が、11日に開場する。これを受け、中断していた築地市場の既存施設解体と、解体跡地を通過する都道環状2号の整備が再始動する。都が2020年東京五輪閉幕後に着手する市場跡地再開発も、方針検討が佳境に入りつつある。再開発参入を目指す民間事業者や地元自治体は動向を注視している。
 築地市場は6日に閉場し、1935年の開場から83年の歴史に幕を閉じた。豊洲市場は食文化の発展に貢献した築地の伝統を受け継ぎながら、最新鋭の中央卸売市場として運営される。
 築地市場の面積は約23ヘクタール。今後の可能性について、ある大手デベロッパーは「周辺エリアを含め非常に興味がある。近隣の中央区晴海地区では五輪選手村の開発も進み、臨海部と都心を結ぶ築地のキャパシティーは高い」とみる。別のデベロッパーも「都心に残された開発用地として魅力的ではある」と強調。都の街づくり方針の検討状況に注目する。
 再開発に先立ち整備する環2(市場内の施工延長450メートル)は、▽暫定迂回(うかい)路▽地上部道路▽本線トンネル-の順に開通を急ぐ。施工はすべて大成建設・大日本土木・徳倉建設JV(15年10月契約済み)が担当する。築地市場の解体工事は7工区に分け、別の業者が施工する。
 暫定迂回路は築地市場と浜離宮恩賜庭園の間を流れる築地川に沿う形で構築し、豊洲開場から1カ月以内の開通を目指す。11日に暫定迂回路のルートと重なる一部施設の撤去を始める。18日から工事関係者以外の出入りを制限し、敷地全体で解体を本格化する。解体の予定工期は16カ月(環2部分6カ月)。暫定迂回路の開通日について、小池百合子知事は「関係機関と最終調整中だ」と5日の定例記者会見で説明した。迂回路は地上部道路の開通まで運用する。
 19年度末までに築地大橋から市場跡地を通り、新大橋通りの青果門前交差点に至る地上部道路を別途開通させる。五輪対応のための臨時路線で、22年度の本線トンネル完成後に廃止・解体する。
 市場跡地には、五輪の選手や大会関係者が使用する輸送拠点を仮設する計画もある。施設解体が完了した土地の一部を東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に貸し、駐車場や管理施設などを仮設する。
 こうした道路整備や臨時活用を経て五輪後に着手する市場跡地の再開発は、築地の新たな街づくりの総仕上げとなる。都は築地再開発検討会議が5月に出した提言の具体化へ、6月に庁内関係部局とつくる「築地まちづくり庁内検討会」、8月には岸井隆幸日大理工学部特任教授を座長とする「築地まちづくり検討委員会」を立ち上げた。
 再開発を巡り、地元区の要望も強まっている。中央区の吉田不曇副区長は日刊建設工業新聞の取材に対し、「国際都市として世界と競争していくために必要なものを考え、開発する必要がある」と話す。地元区の視点として、市場跡地を水上交通と陸上交通の結節点とすることや、オープンデッキなどを通じ周辺の浜離宮恩賜庭園や竹芝桟橋まで広がりを持たせることの重要性も指摘している。
 庁内検討会と検討委はいずれも非公開。現時点で街づくり方針の構成イメージ、将来像、都市基盤施設(道路アクセス、交通結節点、歩行者ネットワーク)、段階的な整備、土地利用などをテーマに検討が進む。街づくり方針は年度内に決定する見通しだ。

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