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全建/事業量の確保・見通し明示を要望へ/地域・企業間の格差拡大危ぐ  [2018年10月24日1面]

 全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が、地域と企業の格差の是正を求めている。事業量を工事費ベースで比較すると、東京都の1997年度の工事費は鳥取県の17・7倍だったが、2017年度は28・4倍に増えた。資本金1億円未満と同10億円以上の建設企業との間の売上高営業利益率の差も開いており、全建は「健全で安定した経営基盤の確保のための事業量確保」(近藤会長)を要望し続ける構えだ。
 全建が国交省の建設総合統計に基づいて算出した事業量によると、1997年度に6・5兆円だった東京都の工事費は、17年度が7・8兆円となった。97年度の東京都の工事費は秋田県の8・5倍、奈良県の10・4倍、徳島県の12・2倍、佐賀県の12・3倍だったが、17年度は17・8倍、26・0倍、24・5倍、22・0倍へと差が広がった。
 財務省の法人企業統計から作成した指標では、経営規模の小さな建設企業ほど利益率が低い傾向が浮き彫りになった。資本金1億円未満の小規模建設企業は、17年度から過去10年の売上高営業利益率が0・1~3・7%で推移している。対して同1億円以上10億円未満の中規模、同10億円以上の大規模は、それぞれ15年度、14年度から4%を超え、上昇傾向にある。
 全建が3日から始めた国交省との18年度地域懇談会・ブロック会議では、傘下の都道府県建設業協会が地域建設業の必要性を強調した上で、経営環境の改善を求めている。関東甲信越地方建設業協会長会の小俣務会長(神奈川県建設業協会会長)は、自然災害の緊急対応を担っていることを念頭に、「仕事量の確保が存続の課題」と指摘。和歌山県建設業協会の中井賢次会長は「人員や機材を維持するのに必要な工事量を下回る地域も多い」と訴え、▽均等な公共事業費の配分▽3億円未満の工事発注の増加▽地元企業への発注の優先-を申し入れた。
 安倍晋三首相は、防災・減災・国土強靱(きょうじん)化の集中対策を3年で進める考えを表明。政府・与党は24日召集予定の臨時国会で、自然災害の復旧・復興費を盛り込んだ18年度第1次補正予算案の早期成立を目指している。消費増税に伴う景気対策の検討も進む。補正予算案に関し、「河道掘削のようなC・D等級向けの工事が多いのでは」(国交省幹部)といった見方も出ているが、地域建設業は事業量の先行きが見通せず、人員や資機材の確保に慎重にならざるを得ないのが実情。18年7月豪雨の緊急対応に奔走した愛媛県建設業協会の中畑健右会長は「業者が減っている。われわれの在り方が問われている」と指摘する。
 全建は「事業量が従前に増して安定的、持続的に、切れ目なく確保されるのが重要」(近藤会長)として、予算の確保・増額に加えて、事業量と投資額の見通しの明示を強く求める方針だ。

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