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安藤ハザマ、極東産業/低エネルギー中性子による放射化を抑制する新塗料材開発  [2018年11月5日3面]

塗料材を10ミリ厚に塗布した例

 安藤ハザマは2日、継ぎ手や防食材を扱う専門商社の極東産業(東京都千代田区、中村俊介社長)と共同で、中性子が発生する研究施設や医療施設向けの新しい塗料を開発したと発表した。塗料に含まれる水素成分により中性子を減速させると同時に、ホウ素化合物が中性子を吸収する。これにより、人への影響や放射性廃棄物の増加の主因となる低エネルギー中性子によるコンクリートなどの放射化を抑制できるという。
 放射化は、中性子などの照射を受けたコンクリートや金属の一部が放射性物質に変化する物理現象。中性子が発生する研究施設や医療施設では、施設内の人への影響やコンクリートなどが放射化することによる放射性廃棄物の増加が懸念される。
 新しい塗料材はコンクリートや金属、ポリエチレンなどの樹脂への塗布が可能で、平面だけでなく曲面などの複雑形状部にも直接塗布することができる。これにより、従来の板状の材料では必要だった下地材が不要。コンクリート壁など平面だけでなく、中性子の発生源となる複雑な形状を持つ装置類にも塗布できるようになる。最大約30ミリの厚塗りができる。
 コンクリートの放射化抑制性能試験を実施した。この塗料材をコンクリートに10ミリ厚で塗布した場合、コンクリートの放射化量は、塗布していない場合と比べ約25分の1に低減されることを確認した。これは従来品の性能と同等という。
 これまで中性子が発生する研究施設などでは、ポリエチレンとホウ酸を組み合わせた板状の樹脂材料や、研磨剤などに使われる炭化ホウ素を混入した板状の樹脂材料などを利用して、平面の壁に放射化抑制対策を実施していた。
 中性子は、がん治療や高分子材料の構造解析、水素吸蔵合金の研究などに用いられる。安藤ハザマは、中性子を発生する加速器を用いたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)施設やPET(ポジトロン断層法)施設、粒子線治療施設などの医療施設を多く手掛ける。極東産業は、放射線に強い素材や遮蔽(しゃへい)するための材料開発に取り組んでいる。
 がん患者の増加に伴い、今後、同様の施設の建設はさらに増加すると予想されている。中性子を利用する高分子材料の構造解析や燃料電池などの分析・研究施設への適用も期待される。両社はそうした施設に対し、新塗料の導入を積極的に提案していく。

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