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政府/重要インフラ緊急点検対応方策概要/既設堤防の機能強化、空港護岸かさ上げも  [2018年11月27日1面]

 全国で頻発する大規模な自然災害を踏まえ、政府が近く公表する重要インフラの緊急点検結果と対応方策の概要が明らかになった。甚大な被害に見舞われた2018年7月豪雨関連では、全国にある河川流域の水害リスクを調べたところ、堤防決壊時に人的被害が拡大しそうな箇所を確認。今後3年で集中して既設堤防のかさ上げや補強などに取り組み、防災・減災機能を強化する。
 緊急点検の実施は安倍晋三首相が9月21日に指示した。国土交通省など12府省庁の所管施設を対象に計132項目の点検内容を設定し、結果と対応方策をまとめた。概要版では、今年の自然災害で被害が大きかった6月の大阪府北部地震と18年7月豪雨、9月の台風21号、北海道胆振東部地震に関連する重要インフラの点検結果と対応方策を抽出した。
 西日本の広い範囲が被害を受けた18年7月豪雨関連では、岡山県倉敷市の真備町地区を流れる河川の本支流合流部付近で発生した「バックウオーター現象」に伴う堤防決壊時の水害リスクを点検。同地区以外にも同様の現象で人的被害が出そうな河川が判明したため、既設堤防のかさ上げや補強などを行う。
 緊急点検結果に伴う対応方策として▽海上・沿岸部にある空港の護岸かさ上げや排水機能強化▽鉄道近接地で土砂災害に対応する道路のり面・盛り土改良▽電力インフラ強靱(きょうじん)化▽緊急輸送路下の下水管耐震化▽水道管の耐震化加速-なども列挙した。
 政府は12月中旬にも事業費を示す「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」を決定する。事業の優先度に応じ、18年度第2次補正予算や19年度予算の特別枠で対応する。
 主な対応方策は次の通り。
 ▽全国河川堤防の堤防決壊時リスク=甚大な人命被害リスクが高い場所で堤防のかさ上げや補強
 ▽全国河道の洪水時リスク=流下阻害や局所洗掘による洪水氾濫が起きそうな場所で河川橋梁架け替えや河道掘削、樹木伐採
 ▽全国ダムの洪水時リスク=土砂流入対策や操作改善を図る改良が必要なダムで、洪水調節機能を維持・確保するための対応
 ▽全国内水浸水のリスク=浸水被害が想定される場所で雨水排水施設の整備や河川改修
 ▽全国の土砂災害警戒区域にあるインフラ・ライフライン=緊急性が高い場所で砂防関係施設の整備
 ▽全国海岸堤防の高潮対策=海抜ゼロメートル地帯または重要な背後地を抱える一部で、必要な堤防高を確保するための整備や越波を軽減する消波施設整備
 ▽全国海岸堤防の耐震対策=地震の発生リスクが高く重要な背後地を抱える海岸の一部で耐震照査や耐震対策
 ▽道路のり面・盛り土の緊急点検=鉄道近接や広域迂回(うかい)など社会的影響が大きい場所で、土砂災害に対応する道路のり面・盛り土の改良など
 ▽道路排水施設の健全性=越波・津波リスクが高い高速道路や直轄管理国道で消波ブロック整備など
 ▽道路耐震対策=高速道路や直轄管理国道で橋梁の耐震化
 ▽鉄道橋梁・駅=大規模地震で倒壊・損傷リスクがある駅や高架橋柱で、鉄骨ブレースや鋼板巻きによる耐震補強
 ▽鉄道河川橋梁=緊急性・対策効果が高いストックで洗掘防止工や異常検知システム導入
 ▽鉄道隣接斜面のリスク=豪雨時に崩壊リスクがある斜面でのり面防護工
 ▽緊急輸送路下に敷設された下水管=マンホール浮上対策未実施または耐震性が確保されていないストックの耐震化
 ▽全国上水道事業者等の水道管=2022年度までに耐震化すべき基幹管路の存在確認し、耐震化のペース加速
 ▽内閣府(防災担当)および国交省(都市局)で管理する防災拠点施設=要対策ストックで浸水対策
 ▽学校施設等の耐震性および劣化状況=非構造部材の耐震対策等を行う学校設置者への支援
 ▽警察施設の耐災害性=建て替えなどの要対策ストックで建て替え整備や耐震・設備改修
 ▽法務省の全国官署施設=要対策ストックで施設整備
 ▽電力インフラ緊急点検=大規模停電(ブラックアウト)を防ぐための電力インフラ(発電設備・送配電網など)強靱(きょうじん)化
 ▽航空輸送上重要な空港基本施設(滑走路や誘導路、エプロンなど)=海上や沿岸部にある空港で、護岸かさ上げや排水機能強化、液状化リスクが懸念される滑走路の耐震対策
 ▽全国主要防波堤=防波堤の補強など。

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