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九州整備局九州技術/堤防維持管理研修にVR活用/実物と仮想空間で不具合再現  [2018年12月7日15面]

研修用堤防のイメージ図

VRで堤防の設計図を確認する職員ら

 九州地方整備局九州技術事務所は、実物大の研修用堤防とVR(仮想現実)の堤防を組み合わせて堤防の維持管理や災害対応を学べる国内初の研修システムの構築を進めている。ひび割れなどの不具合を実物で再現する一方、実物で再現するのが難しい不具合をVRで再現することで、あらゆる状況を想定した点検・診断などの研修が可能となる。19年度の試行開始、20年度の本格運用を目指す。
 研修の対象施設は土堤、護岸、特殊堤・高潮堤防、樋門・樋管。亀裂や陥没、沈下などの不具合を一見して認識できるレベルではなく、監視が必要なレベル、予防保全対応の検討が必要なレベルを中心に再現する。
 福岡県久留米市の九州技術事務所敷地内に築造する高さ4メートル、幅約15メートル、長さ54・9メートルの実物の研修用堤防で不具合を再現し、維持にコストがかかる不具合や、水位上昇に伴い発生しやすい不具合、噴砂など再現するのに手間がかかる不具合などはVRの堤防で再現する。
 VRの活用により受講者は短時間で多くの種類の不具合を体験でき、実物のような維持管理コストがかからず、研修内容の修正・追加も容易にできる。通常は見られない堤防内の状況を確認できるため不具合の発生過程を学ぶこともでき、受講者の点検能力の向上につながるなどのメリットもあるという。
 点検実習、水害体験の2種類の研修を想定し、点検実習では制限時間内に発見した不具合の数や難易度に応じて点数をつけることで講習意欲の向上を図る。水害体験では不具合の放置によりどのような重大な被害につながるかを体験させ、危機意識の向上を図る。VRだけでもすべての研修を行えるようにする。
 18年度末までに護岸や舗装の一部を施工した実物の研修用堤防を暫定的に築造。19年度に研修を試行するとともに実物の研修用堤防を完成させ、20年度から正式な研修として実施する予定だ。
 5日には「研修用実モデル施設検討ワーキンググループ」を開催し、仮想空間上のVR堤防を用いて今後築造する研修用堤防の設計図を同局職員や河川の維持管理技術者らがチェックし、議論を交わした。出席者からは九州で実際に発生した破堤などを水害体験の研修内容に含めるべきだとの意見や不具合の原因を想像できるようにしてほしいなどの要望が出た。
 会合で九州技術事務所の島本卓三所長は建設分野の担い手が不足する中、生産性の向上を図るのは必須とし「現実とVRを両方駆使しながらやっていく必要がある」と述べた。

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