BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・82/樋口一希/施工図描画・墨出しの自動化システム  [2019年1月10日]

施工図を描画した床面

自動墨出しロボットシステムによる作業(右上は作業指示用タブレット端末)

 悩ましいBIMと2次元図面との相関性を探り、メリットを生かすべくさまざまな試行錯誤が行われている。新菱冷熱工業の自動「施工図描画ロボット」と日立プラントサービスの「自動墨出しロボットシステム」について報告する。

 □BIMデータを施工図描画ロボットに取り込み視認性に優れた多色で鮮明な線や文字を描く□

 本連載第79~80回「NTTデータとIPD」でも報告した設備サブコンの新菱冷熱工業は、約30年前から設備系の3次元CADを先駆的に導入するなど業務プロセスのデジタル化に取り組んできた。それら施策の延長として施工現場の省力化と効率化を目的に、BIMデータと連携した多様な施工情報を現場の床面に完全自動で描画するロボットを開発した。オペレーターの操作・監視が不要な無人稼働を実現したため「建設業界初」の施工図描画ロボットとして明示している。
 BIMの3次元モデルが包含する属性データを施工図描画ロボットに取り込むことで、それら多様な施工情報を視認性に優れた多色で鮮明な線や文字で出力する。描画する情報は、機器を据え付ける位置と高さ、アンカーボルトの位置、配管・ダクトの系統名・ルート・高さなどだ。床面に描画された多様で視認性が高い施工情報によって施工図がなくても機器・配管・ダクトの据え付け作業や据え付け後の施工確認が可能となった。
 施工図描画ロボットは18年12月から自社施工現場に試験導入、効果検証を進め、20年の本格展開をめどとして人手不足が喫緊の課題の建設業界における労働生産性と施工品質の向上を目指す。

 □広範囲で大量の墨出し作業を非熟練作業者1人で迅速かつ高精度で行い生産性向上に貢献□

 設備分野でもBIMが用いられるケースが増えているが施工現場での配管やダクトの位置決めでは墨出し作業に頼っている。デジタルとアナログ(現場マニュファクチュア)の狭間を埋めるべく日立プラントサービスが日立プラントコンストラクションの協力の下、開発したのが「自動墨出しロボットシステム」だ。
 「自動墨出しロボットシステム」は、CADデータから墨出し用データに変換する墨出しデータ化アプリ、墨出し用データを基にロボットに作業指示を行うタブレット端末のコントロールアプリ、指示を受けて自律走行しながら作業を行う自動墨出しロボット、ロボットの位置を計測する自動追尾型測量器から構成されている。ロボットは、タブレット端末と自動追尾型測量器との間をWi-Fiデータ通信しながら墨出し位置に移動、到達した後、内蔵のインクジェットプリンターで直線や文字情報を描く。
 広範囲で大量の墨出し作業が非熟練作業者1人でも迅速かつ高精度で行えるし、ロボットが入り込めない狭いエリアでは、コントロールアプリのもうひとつの機能である自動追尾型測量器の単体モードを活用することで、作業の大幅な効率化を図ることができる。空調、衛生、電気など各設備の作業者がそれぞれ行っていた墨出し作業を、各領域のCADデータをシステム上で共有することで一括して実行できるので工事全体の生産性向上にも貢献する。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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