BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・84/樋口一希/積水ハウスのプラットフォームハウス構想  [2019年1月24日]

住環境データと生体データの活用イメージ

 積水ハウスは、ラスベガスで1月7日から10日まで開催されたエレクトロニクス見本市「CES2019」において「家」を幸せのプラットフォームとする新プロジェクト「プラットフォームハウス構想」を発表した。

 □創業60周年を迎える住宅メーカーとしての事業モデルを大きく変える新プロジェクト展開□

 「プラットフォームハウス構想」は、20年春に創業60周年を迎える積水ハウスが販売に向けて取り組む「家」を基点(幸せのプラットフォーム)とする新しいサービスで、「家」の事業モデルを大きく変える新プロジェクトだ。
 「プラットフォームハウス」は住まい手のデータを基にしたサービスの開発、提案を通じて「健康」「つながり」「学び」という無形資産を生み出し続ける家であり、耐久性と可変・柔軟性を併せ持つ。「『我が家』を世界一幸せな場所にする」とのビジョンの下、住まい手の人生100年時代の幸せをアシストする。
 構想実現に向け、専門分野に特化した先進企業などと広くアライアンスを構築し、オープンイノベーションでサービスを開発、提供していく。「健康」に関する取り組みでは、NEC、NTTコムウェア、慶応義塾大学工学部、慶応義塾大学病院、コニカミノルタ、産業技術総合研究所、日立製作所と共に、今後、検討を進めていく。

 □IoTから取得した生体データと住環境データの連動で命に関わる急性疾患なども予防する□

 第1弾の取り組みは「健康」だ。急性疾患対応、経時変化、予防の三つのサービスを提供し、「家が健康をつくりだす」という新しい価値を提供する。「CES2019」では急性疾患対応への取り組みについて発表している。
 命に関わる急性疾患に関しては、家で発症する可能性が高いもの(脳卒中、心筋梗塞、浴槽での溺死、家での転倒・転落など)を念頭に早期発見・早期治療に結びつけるサービスを目指し、普段の生活では起こらない異常などの検知を通じて早期の救急通報も行う。予防面では、住宅内に設置したIoT(モノのインターネット)機器から取得した生体データと住環境データを連動させて、温度、湿度、照明などをコントロールし、快適で心地よい生活をサポートする。

 □住宅産業をデジタルで攪拌(かくはん)して新事業ドメインを創造する「プラットフォームハウス構想」□

 前連載第82~84回「積水ハウスの先駆的BIM」の取材を終え、少子高齢化による住宅市場の変化や空き家問題に話が及んだ。住宅は建て過ぎてしまったのかもしれない。営業担当は雨漏りでもすればすぐ飛んでいくし、顧客のことをよく知っている。あらゆる情報はデジタル化される。数百万余に及ぶ顧客データをビッグデータ化できれば。住宅を建てない住宅メーカーはあり得るのか…等など。
 住宅メーカーならではの顧客のビッグデータを援用すれば、不動産相続と組み合わせた保険商品の開発、高齢者の予病対策施設の併設、買い物難民対策の宅食サービスなどを開発できるに違いない。当たらずといえども遠からずといった妄想は新プロジェクト「プラットフォームハウス構想」と近似している。
 デジタルで世界を席巻しているGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの巨大IT4社)とは対極にリアルで重たいアセットを扱うことを強みに変えて「業としての建築」を次なる情報産業へと再構築する。建築はデジタル(バーチャル)とアセット(リアル)の双極をデジタルツインできるし、BIMの要諦は建築という既存の産業をデジタルで攪拌して新しい事業ドメインを創造するからだ。そんな文脈の中で捉えれば、「家」の事業モデルを大きく変える新プロジェクトは、建てない住宅メーカーと遠く通底していくのかもしれない。「積水ハウスの先駆的BIM」と「プラットフォームハウス構想」との関わりも継続し追跡していく。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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