論説・コラム

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回転窓/夜中の恋文  [2019年1月30日1面]

 小説家の川上弘美さんは執筆中の気分転換に、パソコンで「七並べ」のゲームをするそうだ。七並べが好きで面白いからというのではなく、頭の切り替えに良いのだという▼芥川賞作家の川上さんだが、長時間原稿を執筆していると「夜中の恋文」のような文章になることがあるという。そこで十数分間ゲームを行い、頭を冷やして原稿を推敲(すいこう)すると文章やストーリーでおかしなところが見えてくるというのだ。こうした息抜きが精緻で説得力のある小説を生み出しているのかもしれない▼小説の執筆は孤独な作業と言われる。題材を根気よく調べ、それを頭の中でそしゃくし一つの物語を組み立てる。創作も執筆もすべて一人で行うため、確かに「夜中の恋文」のように個人の思いだけが先行し説得力のない独りよがりの文章に陥りがちだ▼28日、第198通常国会が召集され、安倍晋三首相が施政方針演説を行った。その中には「希望出生率1・8」や「介護離職ゼロ」など大きな目標が掲げられたが、その具体策は示されていない▼「夜中の恋文」のような独りよがりの文章、いや演説にならないよう願いたい。

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