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東電HD/福島第1原発廃炉事業円滑化へ対応強化/廃棄物減容化施設など関連工事推進  [2019年2月6日1面]

事故後8年近くたつ福島第1原発(代表撮影)

核燃料取り出しを来月開始する3号機(代表撮影)

廃棄物処理・貯蔵関連の施設整備イメージ(東電HD提供)

 東京電力ホールディングス(東電HD)は廃炉事業が進む福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)で、作業の円滑化に向けた関連工事を積極展開する。原発構内で発生する廃棄物の置き場や減容化施設、津波への防災力を高める防潮堤や護岸の整備・拡充などを推進。3号機の原子炉建屋では使用済み核燃料の取り出し作業を3月にも開始する。原子炉から溶け落ちた核燃料(デブリ)の除去工法の検討を進めながら、廃炉事業を安全・安心に進めるための環境整備に一段と力を入れる。
 作業完了まで30~40年が見込まれる福島第1原発の廃炉事業。東日本大震災時の津波の影響で炉心溶融(メルトダウン)を起こした原子炉1~3号機の核燃料の取り出しとデブリ除去を目指し、原発構内ではさまざまな作業や工事が進む。
 現在、構内で働く東電社員や協力企業の作業員数は平日1日当たり約4200人前後。がれき撤去や陸側遮水壁(凍土方式)の設置などで7000人超が作業に従事していた15年初めをピークに減少傾向が続き、本年度は4000人台前半で推移している。
 1、2号機の原子炉建屋ではがれき撤去や内部調査などが進む。安全確保のために排気筒(高さ約120メートル)を半分の高さにする切断工事を今春に開始する。1号機側は23年度中、2号機側では同年度末をめどに使用済み核燃料の取り出し作業に着手する見通しだ。
 昨年度末までに原子炉建屋上部へのドーム屋根やクレーンの設置が完了した3号機では、設備の不具合を解消し、3月に核燃料の取り出しを始める。屋根が損傷しているタービン建屋では雨水流入を防ぐ対策工事の一環で、クレーンヤードの整備を進めている。
 汚染水を浄化した処理水の貯留タンクでは、鋼材をボルト締めしたフランジ型から溶接型へのリプレース(撤去・設置)が進む。18年度中にはすべての処理水が溶接型で貯留される。引き続き構内で用地を確保しながらタンクの増設を計画していく。
 廃炉事業の進捗(しんちょく)に合わせて増加する、がれきなど放射性個体廃棄物の管理体制も強化する。貯蔵庫や焼却処理設備の増設、減容処理設備の新設などを計画。原発5、6号機の西側に面する対象地では造成工事が進む。
 固体廃棄物貯蔵庫は既設の第1~8棟に加えて第9棟が昨年2月に運用開始。今後4棟の増設を計画しており、第10棟を22年度、第11棟は24年度までに整備する。
 可燃性のがれき類や伐採木、使用済み保護衣の処理能力の増強に当たり、雑固体廃棄物焼却設備を増設する。20年度の運用開始に向けて本体工事を推進中。破砕装置など焼却炉の前処理設備も25年度までに整備し、処理効率を高める。
 金属やコンクリートなどのがれき類では、破砕機などの減容処理設備を22年度までに整備。低線量のがれき類についてはリサイクルも検討する。
 汚染水処理による二次廃棄物などの大型保管庫を19年度、汚染土の専用貯蔵庫(保管方式は今後検討)を20年度までに順次整備する。
 当面10年程度で想定される放射性個体廃棄物の保管量約77万立方メートル(18年3月時点約43万立方メートル)を、焼却・減容化処理によって約25万立方メートル規模に減らす。東電関係者は「デブリ除去が始まれば、廃炉事業で発生する廃棄物もさらに増える。100万坪の原発構内の敷地を効率よく活用するための環境整備がより重要になる」と話している。

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