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東日本大震災から8年/「復興の総仕上げ」に全力/復興庁後継組織設置へ  [2019年3月11日1面]

東北横断道釜石秋田線が全線開通し、岩手県の釜石市と花巻市が高速道路でつながる(写真は遠野住田IC~遠野IC間の開通式=3日、遠野市)

 東日本大震災から11日で8年。この1年、被災各地では復興に向けた取り組みが進展してきた。復興・創生期間(2016~20年度)の後半に入るのを踏まえ、政府は8日、見直しを進めてきた復興の基本方針を閣議決定。被災地復興の実現へ取り組むとともに、21年度以降も残る課題と対応方針を示した。復興・創生期間後も視野に、残された事業の総仕上げに全力を傾ける。=各面に関連記事
 8日午前、官邸で開かれた復興推進会議・原子力災害対策本部会議の合同会合で、安倍晋三首相は「復興の総仕上げ、福島の本格的な復興に向けて確固たる道筋をつける重要な局面を迎えている」と強調。被災地域の復興支援を継続するため、20年度末で設置期限を迎える復興庁の後継組織を置くことを基本方針に明記した。
 後継組織は復興庁と同じく各省庁の縦割りを排した司令塔としての役割を担う。「復興を成し遂げるための組織」(安倍首相)で、担当大臣も置く方針。今夏にも与党がまとめる復興加速化に向けた提言を踏まえ、次期通常国会に関連法案を提出する見込み。
 復興を重点的に進める復興・創生期間が4年目に入る。基本方針に基づき地震・津波の被災地域では、進捗(しんちょく)が遅れている復興事業でアクセルを踏み込む。福島第1原発事故の影響で復興の足取りが遅れていた福島県でも、基幹インフラ機能や生活再建拠点の整備などを進める。
 中でも再生可能エネルギーやロボットなどの新産業を興す「福島イノベーション・コースト構想」は、安倍首相が「福島復興の切り札」と位置付ける。「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市、浪江町)を活用し、国土交通、経済産業両省は、インフラ点検ロボットの開発・導入に向けた取り組みを推進。試験施設として、ドローン(小型無人機)通信棟やトンネル、橋梁などが整備される。
 □インフラの復旧・ 復興、着実に進展□
 この1年、インフラの復旧・復興は着実に進展。「復興のシンボル」と位置付けられる総延長約550キロの復興道路・復興支援道路は、全体の9割が開通または開通見込みとなった。岩手県の内陸部と沿岸部を結ぶ東北横断自動車道釜石秋田線(釜石市~花巻市、約80キロ)は全線が開通。震災後に新規事業化された区間が着々と開通してきた。
 鉄道ではJR山田線(宮古~釜石)の運営を三陸鉄道に移管し、23日に全線運転再開する予定だ。残る不通区間となるJR常磐線の富岡~浪江(約21キロ)は19年度末までの運転再開を目指して工事が進む。
 国交省はこうした基幹インフラと併せ、住宅再建に向けて各地域の実情をきめ細かく把握し、復興をさらに加速させる方針だ。円滑な施工を確保するため、1月の復興加速化会議で石井啓一国交相は、土木工事の積算を割り増しする「復興係数」の継続を表明。公共工事設計労務単価の上乗せ措置なども継続する。

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