紙面で振り返る平成の歩み・6/6(1994)年/政策大綱の議論スタート

2019年2月13日 トップニュース

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 △政府が行動計画を決定。一般競争入札を本格適用
 △景気低迷下で無理な受注に走るダンピング懸念
 △21世紀に向けて建設産業政策大綱の議論スタート
 年明け早々に政府が「公共事業の入札・契約手続きの改善に関する行動計画」を閣議決定。1994年度から国などの発注で一定金額以上の工事に一般競争入札が導入されることとなる。資格要件を満たせば誰でも入札に参加できるため、懸念される不良不適格業者の排除など、建設省(現国土交通省)は、行動計画に基づく取り組みが始まる前に、必要な措置を通達した。
 業界は、景気低迷下で無理な受注に走る企業によるダンピング受注の横行も懸念。政権内にいた新党さきがけが作成したとされる最低制限価格の廃止などの入札改革原案に業界が反発する場面もあり、社会党出身の野坂浩賢建設相が業界の意見に理解を示した。
 一般競争入札の適用で公共工事の品質の確保も課題となり、建設省がISO9000シリーズ適用の検討を開始。運輸省(現国土交通省)、農林水産省と共に「公共工事の品質に関する委員会」も設け、新たな競争体制下での発注の在り方の総点検に乗りだした。諸外国に比べ建設費が高いとされる内外価格差の指摘も受け、建設省がその後政府全体で取り組む「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」も策定した。
 21世紀に向けた建設産業政策の在り方を示そうと、「政策大綱」の議論もスタート。工事完成保証人に代わる履行ボンドの導入も提言された。
 前田建設と錢高組、日本国土開発の3社が業務提携を締結し、技術開発分野などで協力するといった新たな動きも見られた。