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大豊建設/現場円滑化にICTなど積極活用/「わんこの輪」通じて地域と交流  [2019年3月12日3面]

完成間近の護岸

三好所長〈左〉と小川さん

 大豊建設は、東京都葛飾区で手掛けている「中川護岸耐震補強工事(その34)」(東京都発注)で、施工円滑化に向けた取り組みを展開している。同社初となる水中3次元(3D)スキャナーによる出来形確認の試行や、当初の想定を上回る船団数での深層混合処理工などを推進。川沿いを散歩する犬の写真を掲示する活動により、コミュニケーション向上も図っている。
 建設地は葛飾区奥戸2。護岸耐震補強の施工延長は604メートル。概要は、水中掘削工3万7210立方メートル、地盤改良工(深層混合処理工)1万1165本、高圧噴射攪拌(かくはん)処理工1684本、鋼管矢板圧入工546本、笠コンクリート工600メートル、テラス部修景工など。大豊建設・キムラ工業JVが施工する。
 中川での耐震補強では最も規模が大きく、円滑な施工に工夫を凝らした。水中掘削の段階では、搬出土に大きな石などが含まれていると受け入れが断られる懸念があった。このため特別に製作した鋼製スクリーンを活用し、大きな石などをふるい分けて取り除き手戻りの発生を防いだ。
 地盤改良工の工期短縮を狙いに、ピーク時は深層混合処理船を5船団投入した。杭打ち箇所への作業船移動には自動追尾機能式トータルステーションを採用し、時間短縮と出来形精度の向上につなげた。1日に使用するセメント量は最大300トン規模に上った。陸上輸送だけでは供給が難しいと判断し、海上輸送との併用で着実に工事を進めた。
 建設現場の生産性向上策i-Constructionとして、水中3Dスキャナーによる出来形確認も試験的に取り入れた。確認対象は、プレキャストの笠コンクリートと鋼管矢板とを水中接合しているスタットジベル筋の設置箇所。水の濁りで写真撮影が難しいため、品質管理の補完として水中3Dスキャナーで計測し、必要な本数が適切な間隔に設置されていることを確認した。大豊建設の三好浩司所長は「精度を上げていく必要はあるが、不可視部分の品質向上へ積極的に活用していきたい」と意欲を見せる。
 地域とのコミュニケーションにも力を入れている。特徴的な取り組みが、現場付近を散歩する犬の写真を撮影させてもらい、工事案内看板と一緒に掲示する「なかがわわんこの輪」だ。同じ中川で手掛けた「中川護岸耐震補強工事(その25)」から始めた試みで、累積250匹が登場。愛犬のサクラちゃんが掲示されている現場近くに住む小川悦子さん(70歳)は、「工事のイメージが良くなった」と笑顔で話す。工事への理解促進は円滑な施工の上で欠かせない要素であり、その一助となっている。わんこの輪をきっかけに散歩者同士が会話するようになったケースもあり、住民同士の交流促進という面で地域貢献になっている。
 工期は今月14日までで、完成間近となっている。三好所長は「地域の方の協力のおかげで順調に工事が進んだ。積極的にコミュニケーションをとることで事業への理解を深めてもらい、防災意識向上や建設産業のイメージアップになればありがたい」と話している。

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