論説・コラム

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回転窓/文化の多様性を担う方言  [2019年5月8日1面]

 「あんた、しろしいよ」。スーパーで騒ぐ子どもに向かって、若い母親がこう注意した。「しろしい」はうるさいの意味。この言葉を久しぶりに聞き、心が和んだ▼黄金週間を利用し、故郷の山口に帰省した時の一こま。山口県は比較的方言が少ないと思っていたが意外に多い。「ぶちうまい=すごくうまい」「棚に手がたう=手が届く」「蚊にかぶられた=刺された」「洋服がびっしゃ=びしゃびしゃ」など。故郷を離れ30年以上経つが、幼いころに慣れ親しんだ言葉には愛着がある▼国連教育科学文化機関(ユネスコ)の言語に関する調査結果によると、世界で約2500の言語・方言が消滅の危機にあるという。日本でもアイヌ語や沖縄県の八重山語、八丈島などの八丈方言など八つが挙がる▼言語は人々のコミュニケーションを担い、自分の考えや意識を支える重要なツール。国際化に合わせて英語教育をもっと強化すべきだという声もあるが、文化の多様性を尊重する意味でも地域に根差した方言も大切にしたい▼山口弁で「せんないねぇ」は仕方がないの意。「方言がなくなってもせんないねぇ」とはしたくないものだ。

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