BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・95/樋口一希/ICTが開く新たな事業ドメイン  [2019年5月9日]

ガラスインターフェース(右)と日照パターンのシミュレーション

 「BIMのその先」において建設業にICT(情報通信技術)を挿入、撹拌(かくはん)して新しい事業ドメインを創出する。それらの状況と軌を一にする動きがゼネコンを中心に生まれている。

 □他山の石ではない製造業の代表格である自動車産業におけるデジタライゼーションの衝撃□

 自動車産業が劇的に変容している。独では2030年、仏と英国では40年までにディーゼル・ガソリン自動車禁止の方針だ。4月16~25日に開催の上海モーターショーではトヨタ自動車もハイブリッド車の優位性をかなぐり捨てて電気自動車(Electric Vehicle)を初出品した。一般乗用車の部品点数と比較してEVは半分以下だ。「ケイレツ」は戦々恐々としている。
 「ハイ、メルセデス」と呼び掛ける対話型車載AI「MBUX」搭載車のテレビCMも放映中だ。インターネット接続する自動車=Connected Carも加速度的に普及している。
 来るべきスマートシティーではConnected Carは建物と通信して駐・配車などを最適化、建物の側もIoT(Internet of Things)と同期してダイナミックに稼働する。BIMをシンボルとする建設業のデジタライゼーションもConnected Buildings+IoB(Internet of Buildings)へと拡張していく。

 □AI搭載の近未来の建築「EQ House」と最先端の設計・生産技術(Digital Design-Build)との協働□

 メルセデス・ベンツと竹中工務店は、モビリティとリビングの未来の形を具現化した体験施設「EQ House」を約2年間の期間限定で東京・六本木にオープンした。EQモデルを展示するほか、さまざまなコラボレーションイベントやコンテンツを通じてモビリティとリビングの未来形を実際に体験できる。施設ではAI(人工知能)を搭載して人とダイレクトにつながることを可能にし、デジタル情報を活用した最先端の設計・生産技術(デジタル・デザインビルド=Digital Design-Build)を採用している。
 「EQ House」はAIを搭載した近未来の建築で自ら学び、成長していく。建物中央に設置した透明なガラスインターフェースには情報が浮かび上がり、人の手の動きや声により照明や空調などの室内環境をコントロールできる。これら一連のサービスは竹中工務店が開発したビルコミュニケーションシステムにより実現したもので、人と環境の双方に対してダイレクトにつながる建築は、自然の一部のようにも見え、建築に命が宿っているかのように感じられる。
 1200枚に及ぶ外観パネルは1年365日の全ての日照パターンをシミュレーションした結果に基づき最適な形状と配置を決定する。各パネルは個別のIDで管理され、スマートグラスなどのウエアラブルデバイスを通してタイムリーに設置場所などの必要な情報を提供し建築現場での作業も支援した。

 □「建設業の枠にとらわれず」「脱請負を旗印として」建設業の変革への動きが顕著となる□

 安藤ハザマでは、スタートアップ企業と新しいビジネス、サービスを共創するアクセラレータープログラム「安藤ハザマ アクセラレーター 2019」を始動。ものづくりの技術とスタートアップ企業の革新的な技術や斬新なアイデアを融合、建設業の枠にとらわれることなく、建物などのハード面はもとより、人々の暮らしに寄り添うソフト面でも新たな価値を創造し豊かな未来を実現する。
 前稿で報告した前田建設の技術研究所「ICI(Incubation Cultivation Innovation)ラボ」(茨城県取手市)も「エンジニアリングの向上」への変革を目指し、オープンイノベーションの拠点として新設されたもの。「脱請負」を旗印として掲げ、公共インフラの運営権を取得するコンセッション事業、再生可能エネルギー発電事業などに取り組んでいる。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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