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早大、東大ら/都市浸水リアルタイム予測システム開発/30分後の浸水深など表示  [2019年5月21日4面]

道路の浸水深、河川の水深の予測の画面イメージ

 早稲田大学と東京大学、リモート・センシング技術センターの研究グループは20日、豪雨などによる都市の浸水が高精度で予測できるシステムを開発し、6月から試行運用に入ると発表した。建物の高さや密集の程度といった土地の利用状況に加えて、調整池、下水道、雨水ますといった洪水対策施設の機能を考慮した上で「30分先に、どこが、どの程度浸水するか」が分かる。自治体や交通管理者などに活用を呼び掛ける。
 東京23区の土地状況やインフラのデータを使い、今のところ23区の道路の浸水深、河川の水位などが予測可能。浸水の危険度が読み取れるようになる。「道路の標高、下水管の仕様の差によって、路地一本向こうで浸水の状況が異なるのが分かる」(関根正人早大教授)という。都市のインフラ情報をまとめたデータベースを構築すれば、システムは海外を含めた都市に適用できる。
 関根教授のほか、東京大学の喜連川優教授や生駒栄司特任准教授、山本昭夫特任助教などが開発を主導した。現実と異なる雨水をデータに用いたり、概略値を使った計算手法を採用したりする浸水予測手法がある中で、開発したシステムは、力学原理に基づいた水の流れをベースに、都市基盤を考慮した予測が行える。仮設や補正係数、モデル定数を用いていない一方、東京都道環状7号線地下調整池や雨水ますの状況、下水管が水で満ちている割合などを反映させてある。
 都市浸水の発生とプロセスを予測できる関根教授が開発した「スイプス」というシステムを利用。道路の仕様や下水管の情報などをデータ化し、入力してある。研究は文部科学省のデータ統合・開設システム「DIAS」を利用して推進し計算を高速化。国土交通省のリアルタイム雨量観測システム「XRAIN」、気象庁の雨量予報システム「高解像降水ナウキャスト」の降雨データの入力結果を動画・画像情報で表示・配信可能だ。浸水の予測を30分で行い、結果の画像を10分で表示でき、緊急避難など災害の被害を減らす措置を20分前から講じられるようになる。
 今後は「リアルタイム版スイプス」として運用していく。危険を察知した上での安全確保、救急活動、物資搬送などに役立てたい考え。2020年東京五輪までにさらに十分な情報を提供できる体制を整えることを目指し、鉄道会社、地下街の管理者、ガス・電力会社、行政機関に活用を求める。23区にある路地を含めた浸水予測のサンプル画像を近く公開する。スマートフォンなどで閲覧できるようにする。

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