BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・96/樋口一希/Workwellのビジネスモデルとは  [2019年5月23日]

Workwellのチーム(2019年3月日本支社開設)

 衝撃の登場となったヨーロッパ発のスタートアップ企業Workwell。「BIMのその先」の建築のデジタライゼーションを通して協働するであろう新しい事業ドメインを体現した企業だ。来日中の共同創業者のポール・デュプイ(Paul Dupuy)氏と日本支社のワークウェルテクノロジー支社長、金英範氏へのインタビューから革新的なビジネスモデルを探る。
 (https://www.workwell.io/)

 □建物を利用するさまざまなユーザーに対して日々の活動を支援するアプリケーション提供□

 Workwellのサイトには〔Building Communities, One Place at a Time〕そして建物、近隣住民、スタートアップ企業、コミュニティー、組織、コワーキングスペース、住居、企業など建物のユーザーに対して日々の活動を支援するオールインワン・アプリケーション(モバイルイントラネット)をワンストップで提供する、とある。
 建物はインターネットと接続したConnected Carと通信して駐・配車などを最適化しているし、IoT(Internet of Things)と同期してダイナミックに稼働、空調・照明の制御、昇降機のコントロール、自動運転ロボットでの掃除なども行っている。Workwellではそれらのシステムを〔One Place at a Time〕で、個々の建物を横断的につなぐプラットフォームとして提供することにより、日々、稼働する建物とそこで生活し、活動するユーザーを支援するインフラを構築する。

 □アプリ利用で自律的でより自由に多種多様なアイデアや時間もシェアできる働き方実現□

 Workwellのアプリが導入されたオフィスビルに入居したとする。昼食時にはレストランを予約し配達サービスも使える。外出時にはライドシェアの相手を見つけられるし、来客時にはフロアマップを参照しながら共用の会議室を予約できる。ユーザー同士による開かれたコミュニティーも構築できる。これら全てがモバイルアプリとして提供されているので手元のスマホで目的が完結する。紋切り型で硬直し残業禁止に堕した働き方改革でなく、自律的でより自由に、ワークライフバランスを考慮しつつ、多種多様なアイデアや時間さえもシェアできる働き方が実現する。  サイト掲載の採用企業欄にはそうそうたる企業が並んでいる。今回、ポール氏が接触した組織の中にはMの頭文字の三大デベロッパーも含まれ、面談時にはみずほ総合研究所が採用したのが明らかとなった。

 □建物3次元モデルとWorkwellのアプリと接続することでBIMの射程をさらに伸延可能□

 BIMによって構築された建物3次元モデルは、設計・施工を経て施設管理にも援用されるのが自明となった。一方で、それらは建築とその伸延上にある不動産業内部でのイノベーションといえる。竣工後、建物はそこで活動し生活するユーザーと共に、日々、ダイナミックに稼働する。BIMの建物3次元モデルはWorkwellのアプリと接続することで利用価値を拡張できる。
 Workwellのアプリは、SDK(※1)を介してさまざまなサードパーティーのサービスを統合している。主要なBIMソフトは、API(※2)を介して外部アプリと協働する機能を持つので、建物3次元モデルとWorkwellのアプリと接続することでBIMの射程がさらに伸延できる。
 日本郵政在職中であったがポール氏との仲介の労をとっていただいた似内志朗氏と、取材時に協力いただいたデロイトトーマツ PRSのBIMコンサルタント、赤土かよ氏に謝意を表する。
 (※1)SDK:Software Development Kit=あるシステムに対応したソフトウエアを開発するために必要なツールのセット。APIライブラリ、サンプルプログラム、技術文書などが含まれる。
 (※2)API:Application Programing Interface=あるソフトウエアの機能や管理するデータなどを外部の他のソフトウエアから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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