BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・97/樋口一希/竹中工務店のビヨンドBIM・上  [2019年5月30日]

18年のメンバーの行動軌跡

スーダン、上海からのメンバーも参加するなど多国籍な人員構成となっている

 竹中工務店が新たに設けたコンピュテーショナルデザイングループの活動から「Beyond BIM」=BIMを超えて建設業が目指す次なる可能性を探る。

 □コンピューターでなければできない能力を生かして解答を得るのがコンピュテーショナル□

 設計支援(Computer Aided Design)として想定されたが製図支援(Computer Aided Drafting)として定着したCAD。人的作業をコンピューターに代行させるので「コンピュータライズ(Computerized)」とするのに対して、コンピューターでなければできない、コンピューターの能力を最大限に生かして解答を得るのをコンピュテーショナル(Computational)」と呼ぶ。
 2020年の祝祭を前にして新国立競技場が姿を現してきたが裏写しのように記憶されているのが故ザハ・ハディド氏の建たなかった競技場だ。建築家というのはコンピューターを使って「変な格好の建物」を設計するとの曲解とともに、人々の間にコンピュテーショナルデザインという言葉も浸透していった。
 コンピュテーショナルデザインは、原理的には製造分野に出自があり、航空機から医療分野まで広い援用範囲を持つが直近では建設分野へと広がりをみせている。NURBS(※)による滑らかな自由曲面を用いて3次元モデルを生成する3次元モデリングツール「Rhinoceros」、視覚化されたプログラミング手法によって建物の動的機能をトレースし、再構築・編集する「Grasshopper」などに注目が集まっている。

 □17の海外のカンファレンスや学会などのイベントから貴重な知見を持ち帰り運用に備える□

 竹中工務店では、16年に設計部内に設立したアドバンストデザイングループやコンピュテーショナルデザインワーキンググループを基に18年3月にコンピュテーショナルデザイングループを創設した。意匠・構造・設備設計を経験し、〔アルゴリズム〕〔サスティナブル〕〔ビジュアライズ〕〔ロボティクス〕などのスキルを持つメンバーで活動をスタートさせた。
 活動テーマを〔調査〕〔開発〕〔支援〕〔展開〕〔広報〕としてグループを運営する中で、18年には海外のコンピュテーショナルデザインに関するカンファレンスや学会などのイベントから17を選択し、グループメンバーで10のイベントに参加、五つのイベントをWEB調査、二つのイベントには社内の他メンバーも加わり共に貴重な知見を持ち帰っている。
 2月19日の日本建築学会のシンポジウムで千田尚一氏(コンピュテーショナルデザイングループ長=当時)は講演「コンピュテーショナルデザインに取り組むということ」において、既存業務へのBIM援用を超えた建設業の新たなプラットフォーム創りを表明、広く聴衆の関心を喚起した。
 (※)NURBS:Non-Uniform Rational B-Spline(非一様有理Bスプライン)=曲線や曲面を生成するために用いられる数学的モデル。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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