BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・99/樋口一希/竹中工務店のビヨンドBIM・下  [2019年6月13日]

ボロノイによるプランと3次元モデル

基本的なシステム構成

 「建築デザインの将来創造型コンピュテーショナルデザイナー集団」として活動を続ける竹中工務店のコンピュテーショナルデザイングループ。建築主から高い評価を受けた現業プロジェクトを概説する。

 □鉄骨加工技術とコンピュテーショナルデザインと協働することで建築主の未来創造に貢献□

 海外のカンファレンスや学会などへの参加、産学連携の推進、著名な組織設計事務所との交流などを通じて獲得した貴重な知見を基にコンピュテーショナルデザイングループが現業プロジェクトとしたのは鉄骨ファブリケータの三栄建設鉄構事業本部新事務所工事であった。
 新事務所では内勤100人・職人250人にゲストを交えた、部署を超えたコミュニケーションの活性化が必須条件とされた。建築主が抱える課題を新事務所移転で解決するために選択したのが〔Computational design+BIM+Digital fabrication〕の実践である。合わせて三栄建設の鉄骨加工技術とコンピュテーショナルデザインとの協働によって鉄骨加工業の未来を示す建築の創造を目指した。

 □トンボの羽の表紋の組み合わせのようなボロノイ分割した平面形状を基に3次元モデル化□

 コンピュテーショナルデザイングループが解決策として採用したのが空間の立体的、多面的なつながりを有機的に生成する「ボロノイ(Voronoi)分割」であった。ボロノイ(Voronoi)分割とは、隣り合う母点間を結ぶ直線に垂直二等分線を引き、各母点の最近隣領域を分割する手法で、トンボの羽や亀甲の表紋に近似している。一般的な平面プランは四角形の組み合わせだが、図1にあるように、ボロノイではトンボの羽の表紋の組み合わせのようになる。その平面形状に基づき3次元モデル化したものをVoronoi Modelとして採用した。
 図2のように3次元のVoronoi Modelの構築には3次元モデリングツール「Rhinoceros」を使用、多方面からのパースによる検討で最大限の見える化を実現、建築主との合意形成を行った。「Rhinoceros」によるVoronoi ModelはBIMソフト「ARCHICAD」に受け渡してBIMモデル化、2次元図面を生成するとともに、鉄骨構造設計BIM「Tekla Structures」に移行して製造工程へと援用された。

 □調査・研究に偏せず現業プロジェクトに関わる中で新たな事業ドメインの創出を実証する□

 最先端のコンピュテーショナルデザインを用いて新事務所を具現化する中で、建築主自身がCAM(Computer Aided Manufacturing)=コンピューター支援製造による鉄骨加工と接合部の型枠製作も行うなどユニークな協働が実現したケースであった。建築主の社員たちは、日々の建設の過程を通してコンピュテーショナルデザインと協働することで鉄骨加工業の未来を実感していく。調査、研究に内閉せず、実際の現業プロジェクトに関わる中で新たな事業ドメインの創出を実証したコンピュテーショナルデザイングループの面目躍如である。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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