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新会長/土木学会・林康雄氏/鉄道切り口にメンテの仕組み検討  [2019年6月18日1面]

林康雄氏

 14日の定時総会後の理事会で土木学会の第107代会長に就任した。地方自治体が抱える膨大な数のインフラのメンテナンスを課題の一つに捉え、「先行する鉄道事業者の仕組みを見える化することで、解決の糸口にしていきたい」と意気込みを語る。
 --老朽インフラのメンテナンスにどう対応する。
 「国内のインフラは高度経済成長期に集中的に整備され今後急速に老朽化していく。適切にメンテナンスすれば長寿命化は可能だ。12年に中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板落下事故を受け、道路やトンネルの定期点検が義務付けられた。土木学会は第三者機関としてインフラの健康診断に取り組んでいる」
 --鉄道のメンテナンス事業は先行している。
 「鉄道は民間事業者の施設のため、土木学会の健康診断の対象としてこなかった。しかし、鉄道の歴史は古く、効率的なメンテナンス方法や完成された組織もある。鉄道にも橋梁やトンネルがあり2年おきに点検を実施している。鉄道のメンテナンスを検討すれば、他のインフラ分野の参考になるはずだ。作る側と守る側が同じ情報を共有していないと良いものはできない」
 --鉄道のメンテナンスを今後どう検討するのか。
 「鉄道事業者を大別すると、JR、大手民鉄、東京メトロと中小の地方鉄道となる。海外は補助金を基盤に鉄道が運営されている。海外との比較を行うなど、鉄道事業者にとっても参考になるような事項を拾い出し、議論したい。地方鉄道などを運営する自治体は職員や資金が不足している。そうした状況の中で、どうメンテナンスを進めれば良いかという答えを出していくつもりだ。インフラの健康診断が5年目を迎える。合わせて答えを出していきたい」
 --創立100周年時に策定した中期計画「JSCE2015」を見直す。
 「働き方改革や海外展開など、5年前とは異なる課題が出てきた。今後の5年間は変革の5年間だ。骨格のテーマは大きく変えず、今の時代を反映した施策を着実に入れ込んでいくのが大事だ。これからは課題解決型から価値創造型の取り組みが必要となる」
 --情報発信の方法や担い手の確保策は。
 「学会活動を進める上で、市民社会とのコミュニケーションが大切だ。情報の受発信をきちんとし、土木界が独りよがりにならないように気を付けていきたい。深刻な人口減少と急激な少子高齢化に伴い産業間で人材の取り合いになっている。建設産業で担い手を確保するには、働き方改革と生産性向上が欠かせない。若手やシニア、外国人など広範なダイバーシティー(人材の多様性)を推進したい」。
 (6月14日就任)
 (はやし・やすお)1975年東京大学工学部土木工学科卒、国鉄入社。03年JR東日本理事八王子支社長、06年理事建設工事部長、09年常務鉄道事業本部副本部長。13年鉄建建設代表取締役執行役員副社長、14年社長、18年6月から代表取締役会長。土木学会では07~09年度理事、09年度に副会長を務めた。神奈川県出身、66歳。

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