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新会長/日本建築学会・竹脇出氏/若手育成や災害対応に注力  [2019年6月19日1面]

竹脇出氏

 5月30日の定時総会で第56代会長に就任した。学術と技術、芸術でバランスの取れた若手人材を育成する仕組みづくりに本腰を入れる。異分野連携によるタスクフォースを設置し、災害に強い建築の実現も急ぐ。全国9支部と連携し会員増強にも力を注ぐ。
 --活動の方向性を。
 「大学で約40年間、建築を教えてきた。教育者として培った経験を生かし、若手人材の教育体制や災害に強い建築づくりに向け、二つの検討テーマを設定し活動に当たる。建築を構成する学術、技術、芸術の3本柱は重要な要素だ。この中には計画・設計、構造、環境といった多様な分野を含んでいる。優れた建築を生み出すには各分野が連携する必要があり、専門特化した若手人材の育成が鍵を握る」
 --若手人材をどう育成する。
 「世界各国で専門家以外が学術研究の成果を閲覧する『オープン・サイエンス』が進展している。この流れに乗り遅れないよう論文集の電子化を進める。2021年4月には論文が自由に閲覧できるシステムを始めたい。論文のオープン化は会員数と建築士の有資格者拡大につながると見ている」
 「昨年12月に成立した改正建築士法に関連して、1級建築士資格の運用基準が見直される。学会の発行誌などに掲載された研究成果を実務要件にカウントすべきだと主張している。実務要件が緩和されれば、建築士の資格保有者も増えるだろう」
 --新組織の役割は。
 「会長在任中に活動テーマを実行するためのタスクフォースを立ち上げる。一つは資格制度、論文のオープン化といった人材育成全般を扱う組織だ。全国で自然災害が多発している。災害に強い『レジリエント建築』に向け、具体策を検討する場も設置する。想定外の災害もカバーできるよう、具体的な建築事例やさまざまな統計データを基に有効策を打ち出したい。両タスクフォースは、7月をめどに活動テーマや組織体制などを固める予定だ」
 --支部との連携をどう進める。
 「学会には全国9ブロックで約3万6000人の会員が所属し活動している。他の学術団体に比べて会員数が多い上、女性比率も高い。ただ、東京都心への一極集中を受け、地域支部の会員は減少傾向にある。こうした課題に対し、会員一人一人の要望に真摯(しんし)に応えていく。会員数減少に歯止めを掛けるとともに、支部との連携を一層密にする。中でも入会が4割にとどまっている大学院生には参加を呼び掛けていく。論文の電子化を含むさまざまな活動を展開してファンを増やしたい」。
 (5月30日就任)
 (たけわき・いずる)1980年京都大学工学部建築学科卒、82年京大大学院工学研究科修士課程建築学専攻修了。96年京大大学院工学研究科助教授、2003年教授。04年度に日本建築学会賞(論文)、14年に同学会著作賞など多数受賞。13~15年度に建築学会副会長などを歴任した。滋賀県出身、61歳。

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