BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・101/樋口一希/建築BIM推進会議の本気度  [2019年6月27日]

営繕工事での生産性向上技術の活用方針を改定(国土交通省ホームページから)

 2019年も半ばを過ぎようとする中で、後半に向けて官民のBIM関係の動きを総合するなど、ここで腰だめして7月18日からの連載の再開に備える。

 □i-Constructionの建築分野への拡大+紙の一部を基本設計レベルのBIMモデル納品へと転換□

 前稿の日本建築学会の「改正建築士法施行に向けた日本建築学会からの意見」への私見については、現業の中でBIMの運用、社内教育に奮闘する方々や業界での枢要な立場の方々から「問題提起に感謝」との反響を受けた。BIM普及の応援団として、建築士試験の改善は、一刻を争うとの危機感を共有してもらえたのが何よりもの成果であった。
 折から官の動きも急を告げている。国土交通省では4月23日に「建築BIM推進会議(仮称)の設置について」を公表、注視していたところ、速度感をもって6月13日に「第1回 建築BIM推進会議」を開催した。ここでの最も重要な資料が「資料5 官庁営繕部におけるBIMの取組」で、19年度における建築分野へのi-Constructionのさらなる拡大への活用方針を明示している。具体的には、「BIMを用いた基本設計図書の作成及び納品(試行・新規)」においては〔紙納品の一部をモデル納品〕としており、それはまた〔基本設計レベルのBIMモデル〕としている点だ。
 民間ではモデル納品を行うケースが増えているが、官の側でも公にした意味は大きい。紙の設計図書ではなく、BIMモデルというデジタル情報が主体であると宣言したわけで、このことは、今後の建築基準法の改正や業界内部での契約行為の改変にまで影響を及ぼすに違いない。

 □月日単位で具体的な作業工程が提示されるなど建築BIM推進会議の動きから感じる本気度□

 「資料7 BIMを活用した建築生産プロセス等の将来像・工程表の策定について」では、6月13日の「第1回 建築BIM推進会議」開催から次回7月23日の「第2回 建築BIM推進会議」までの具体的な作業工程が記載されている。その間に、各委員へのヒアリング、アンケートなどを通じて、より中長期にわたる将来像・工程表の策定を行うとするものだ。年単位ではなく、月日単位で進めようという宣言にも本気度が感じられる。官の動きが、そうであるならば、民の方でも本気度を高めて対応する必要がある。
 「建築BIM推進会議」へは、これまでの取材を通じて知見を得た多くのBIM関係者が民の側から参加している。今後とも継続して動向を追跡していく。

 □建築主のデジタル化への理解が進むとともに建築の側でも経営層のBIMへの理解が深まる□

 「建築BIM推進会議」に参加しているBIM関係者にヒアリングした。それによると、BIMの普及がこれまでにないほど重要な局面を迎えているのがわかる。
 ひとつには、デベロッパーや地方の行政機関を中心に、建築主の側でBIMを中核とする建築のデジタル化への理解が進み、契約ベースで建築業の側にBIM採用を要求する事例が増えていることだ。これらの事例では、デジタル化を前提とした契約からモデル納品の在り方まで個別対応しているが、「建築BIM推進会議」などの活動を通じて、早急に官民で公のルールを作るべきだ。
 他方、建築業の側では、BIMによる建築のデジタル化が生産性向上や建築の質的向上に直結し、建築主へのサービス強化に貢献するとの認識が経営層にまで広がりを見せている。そのような状況下、新たな危機として顕在化したのがデジタル要員の不足だ。建築業においても、単なる残業禁止に堕した働き方改革から脱して、優れたワークライフバランスの実現を旗印として、積極的かつ意識的に、建築とコンピューターの領域を架橋するICT要員を育成すべきだ。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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