BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・104/樋口一希/官民で活発化するBIM推進の動き  [2019年8月1日]

 振り返ると、あの時に変化への潮目が変わったと思えることがある。建築専門メディアも次々と報じているが、ここ1カ月間をみても、官民を挙げてBIMを推進しようとする動きが急だ。BIMへの動きがある種の沸点を迎えたのかもしれない。直近の動向とともに、関係者の思いを聴取した。

 □先行するBIM関係者はようやく業界を挙げてBIM化に本気になったと今後の進展に期待□

 空調衛生工事を専門に施工する企業などの全国団体である日本空調衛生工事業協会では7月17日、BIMの普及・推進に向けて協会内に「BIM推進部会(仮称)」を新たに設けると発表した。建築関連業界の中では空調衛生分野で、他の領域に先行して独自に3次元CAD運用が進んでいた。空調衛生分野での3次元CAD運用、BIM連携を先駆的に進めてきた関係者に聴くと「オタクだといわれたこともあったが、ようやく業界を挙げてBIM化に本気になった」と今後の進展に期待を述べた。
 具体的に協会では経営活性化委員会への「BIM推進部会」設置を正式決定。背景には2018年3月に協会が策定した「働き方改革の推進に関する行動計画」がある。協会では政府が策定した「働き方改革実行計画」の実施に向けて行動計画の中で「フロントローディングやBIMの活用により(中略)生産からメンテナンスまでのさまざまな精度向上に努めていく。またICT、IoT機器の導入や技術開発に努め、施工における省力化や生産効率の向上を進めていく」としている。

 □意匠・構造・設備・積算と専門分野を横断的に網羅した設計関連団体がBIM対応を積極化□

 東京都建築士事務所協会では7月25日、東京構造設計事務所協会、東京都設備設計事務所協会、日本建築積算事務所協会関東支部と連携し共同で「東京建築設計関連事務所協会協議会」(TARC、通称ターク)を立ち上げると公式サイト上で公表した。TARCはTokyo Architectural Design Relation Firms Association Councilの略である。
 それによるとTARCでは、建築設計関連事務所の業務全般に関わる諸課題について協議し、業務の円滑化を図るとともに、建築設計分野の発展に寄与することを目的とし、人材不足や後継者問題、BIMへの対応など分野を横断して議論、課題解決につなげるとしている。
 意匠、構造、設備、積算と専門分野を横断的に網羅した設計関連団体がBIMへの対応を積極的に進めると公表した意味は大きい。今後の動きを注視していく。「どれだけのスピードで共闘できるのかが試されている」。

 □BIM活用の将来像としてリアルな建築物だけでなくデジタルデータにも価値があると明示□

 本丸ともいえる国土交通省の動きも月日単位で進捗(しんちょく)が公表されるなど急を告げている。本稿でも「建築BIM推進会議」の1回目が開かれたと関係者のコメントと共に紹介したが、それから間を空けず7月23日に2回目が開催された。具体的に2回目の会合において、建築生産・維持管理にBIMを活用する将来像と工程表の方向性のたたき台を整理し提示した。
 将来像については、「高品質・高精度な建築生産・維持管理の実現」「高効率なライフサイクルの実現」「社会資産としての建築物の価値の拡大」の3本柱で整理している。関係者間で特に注目が集まっているのが、「社会資産としての建築物の価値の拡大」で、リアルな建築物だけでなく、デジタルデータにも価値があると明示していることだ。これらの将来像を実現するため建築業界において必須となる取り組みを七つに区分し、それら個々に部会を設置、本年度下期から個別課題の検討に入る。
 3回目の会合は時をおかず、8月末または9月上旬に開催する予定としており、そこでは将来像で示した活用シーンが工程表の何によって実現可能なのかといった将来像と工程表の関係などを精査した上で、七つの部会で個別課題の検討に入る。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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