BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・105/樋口一希/BIMによる建築確認申請の動向まとめ  [2019年8月8日]

BIMソフト「GLOOBE」による建築確認申請の流れ

 建築確認申請にBIMを実利的に使用する機運が高まっている。7月25日には、産学官の関係組織が協働で、BIMを使用した建築確認を普及するべくより現実的な方法を検討する「建築確認におけるBIM活用推進協議会」が発足している。これまで取り上げた確認申請とBIMの実際を振り返るとともに、直近の課題と可能性を探る。

 □テンプレートやビューアーソフト利用で対象を4号建築物から鉄筋コンクリート造まで拡張□

 本稿で確認申請とBIMの連携について最初に取り上げたのは2016年10月13日から掲載のオートデスク発「BIMデータを使用した建築確認申請手続きによる国内初の確認済証を交付」だった。16年9月23日には独立系の設計事務所フリーダムアーキテクツが確認申請機関の住宅性能評価センターへBIMソフト「Revit」を用いて申請用BIMモデルを提出し、審査の結果、2件の確認済証の発行を受けた。
 対象を4号建築物に絞り込むなど限定的な試みだったが、各方面に衝撃を与え、状況に風穴を開けたのは確かだ。18年1月11日にはフリーダムアーキテクツの続編を報告した。この段階では対象を4号建築物から木造3階建てまで拡張していた。
 18年7月5日には、注文住宅専門の建築設計事務所アーネストアーキテクツがBIMソフト「ARCHICAD」(グラフィソフトジャパン)+BIMビューアー「BIMx」を使用して電子申請により鉄筋コンクリート造一戸建て住宅の確認済証交付に至ったと報告した。

 □BIM本体で3次元モデルを運用し整合性が確保された3次元モデルと図面を同質的に視認□

 18年12月13日には、BIMを用いた確認申請の対象が建築基準法第6条第1項に規定されている劇場、病院、ホテル、共同住宅などの1号建築物(特殊建築物)へ拡張されたと報告した。対象が1号建築物へと拡張できた背景には、BIMソフト「GLOOBE」ベンダーの福井コンピュータアーキテクトの開発担当者、「GLOOBE」ユーザー会「J-BIM研究会」のBIM申請分科会、スターツCAMそして確認検査機関の日本ERIといったBIMによる確認申請に関わるステークホルダーの協働がある。
 「GLOOBE」は、避難規定と関連する竪穴区画などで必須の耐火・防火設備の情報も、ソフト本体に保持しているため、確認検査機関側で行うチェックの要点を網羅した図面も自動生成できる。確認申請の流れ図にあるように、クラウドベースの電子申請受付WEBシステムを仲介して、申請者(スターツCAM)と確認検査機関(日本ERI)とは3次元BIMモデルを用いてやりとりする。双方は閲覧ソフトではなく、「GLOOBE」本体で3次元BIMモデルを運用するので、整合性が確保された3次元BIMモデルと図面を同質に視認できるし、図面上の防火区画などはチェックごとに凡例と共に色分け表示できるので確認漏れも防止できる。

 □業界全体としての対応が求められる中で発足した「建築確認におけるBIM活用推進協議会」□

 ここまでの経過は、独立系の設計事務所など一企業、BIM ソフトベンダー、建築確認機関における個別での対応であった。建築確認自体は建築基準法によるから統一的な手続きとなるが、個別企業における図面表記の違いなどへの対応も求められたし、異なるBIMソフトを導入し、早急に修練しなければならない確認機関側の負担は多大であった。BIMソフトは個別に購入しており、購入コストも大きな負担となっている。
 業界全体としての対応が求められた中で発足したのが、「建築確認におけるBIM活用推進協議会」である。著名な組織事務所の経営者は「ようやく本音で言い合える環境ができた」と評価していた。協議会には主要な業界団体、大手ゼネコン・設計事務所が参加しており、注目できるのは建築確認に関わる官民の主要組織が名前を連ねていることだ。確認申請とBIMの連携が一気に加速化する環境は整った。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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