BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・108/樋口一希/清水建設がDDEプラットフォーム構築  [2019年9月12日]

「Shimz DDE」(登録商標出願中)

 BIM普及の本気モードに入った官の動きに呼応するように、鹿島では「鹿島統合報告書2019」で経営トップが「BIM推進」を明らかにした。他の大手ゼネコンからも「全社的」にBIM運用を進めるとの意向も聞こえてくる。そのような状況下、清水建設からは全社設計部門において新たな挑戦を開始するとの発表があった。

 □全社設計部門で高度なコンピュテーショナルデザインを実践するための「Shimz DDE」構築□

 清水建設では、設計上流の企画・基本設計段階での提案の一層の高付加価値化を目指し、高度なコンピュテーショナルデザイン手法を実践するためのプラットフォーム「Shimz DDE(Digital Design Enhancement platform)」を構築、全社設計部門において組織的運用を本格的に開始した。設計者は「Shimz DDE」上の多様なツールを活用することで、データ(エビデンス=根拠)に基づいた付加価値の高い提案が可能になる。
 Shimz DDEは、NURBSによる滑らかな自由曲面を用いて3次元建物モデルを生成するモデリングツール「Rhinoceros」と、アドインソフトのビジュアルプログラミングツール「Grasshopper」を中核に、意匠・構造・設備の分野を横断的に連携する数十種類に及ぶソフトを統合・集約している。
 連載第76~77回でAlgorithm Design Lab.(アルゴリズムデザインラボ、重村珠穂代表取締役)の現況を報告する際に非公式に清水建設と協働しているとの情報は得ていた。今回の組織展開にあたっては、アルゴリズムデザインラボ他、外部の協力を得て社内研修システムを整備・展開、高度なスキルを持つ設計者が200人近くに達するなど成果として結実したことになる。

 □設計者がプログラミング言語を用いず3次元建物モデルを基に直観的な設計検討を実行□

 「Shimz DDE」をプラットフォームとして定義したのは、設計者がプログラミング言語を用いずに3次元建物モデルを基にした多様な設計検討を「直観的な操作」で行える全社設計部門横断的な環境を構築したからだ。設計上流においては建物形状の検討とともに各種の法規制チェック、構造解析、環境負荷の把握とそれに基づくエネルギー消費の検討などが求められ、それに引き続き膨大なデータから設計条件に則した最適な設計案の選定からプレゼンテーションに至るまで多岐にわたる設計行為が含まれる。

 □設計案作成時の検討範囲が飛躍的に拡大して従来に比べて設計提案が一層高付加価値化□

 コンピュテーショナルデザインでは、設計者が「Grasshopper」で形状生成のルールを設定し、数値(パラメーター)を変えシミュレーションしながら3次元建物モデルを作成する。作成された3次元建物モデルは、法的条件のチェック、構造、環境負荷の解析など意匠・構造・設備のあらゆる検討に用いることができ、各検討の過程においては、設計者のルール設定に従い、コンピューターが圧倒的な速度でシミュレーションを繰り返す。これによって設計者単独では不可能な多量の解決策を示し、より複合的な条件を考慮しながら素早く設計案を絞り込むことが可能だ。最終的には発注者などとの協議に際して、コンピューターを用いて設計案ができるまでの過程を追体験し、提案の根拠を明確に示すことができる。
 コンピュテーショナルデザインの最大のメリットは、設計案作成時の検討範囲が飛躍的に拡大するため、熟練の設計者による設計行為に比べても設計提案が一層、高付加価値化することだ。加えて一連の設計プロセスが可視化されることで、設計の妥当性の検証や発注者などとの合意形成の期間を大幅に短縮でき、設計者が設計検討に集中できる時間が増大する。さらには従来のように目的に応じて行っていたモデルの作成・変換が不要になるため、設計検討自体も大幅に効率化できる。
 ※「Shimz DDE」(https://www.shimz.co.jp/shimzdesign/dde/index.html)
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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